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「麦秋」
監督・小津安二郎
主演・原節子

 以前、「晩春」の記事で、小津さんは下手だ。
って書きましたが、
 本作を見て、ちょっと訂正。というか
 
 ちょっと、見直しました。あいかわらす、カメラは低いし、
めっちゃ四角く撮ってます。と言っても、誰がとっても画面は四角ですが、
小津さんの場合、会話のシーンで真正面でバストショットで
ぱっちんぱっちんFIXで撮るので、漫画のコマだと
真四角みたいな気がするのです。
 相変わらず、カメラはほとんど動きませんが。

 今回は、「晩春」ほど、イマジナリーラインを越えた、
向かいあいの切り返しカットがあんまり気にならなかったです。
(私の体調が原因かな)
 というより、この、なんにもほとんど起こらない、脚本で
最後まで、観客の興味を引っ張っていく
脚本の力に脱帽。
 本当に、最初から最後までなんにも起こらない脚本なんですよ、、。
 最後に、のりちゃん(原節子)の結婚相手が決まるだけ、、。

 だのに、見続けられるこの演出力は、なんだ、、!。
また、感情的になったり、憎み合ったり、する人物も皆無。
大人がずーっとやっていっているだけ。
ドラマ性ゼロじゃない。
 それで、見続けられるって、これ、傑作かもしれない。

 原節子さんもいいけど、友人役の淡島千景さんや義姉役の
三宅邦子さんもいいですね、、。

 最後に、まとめ的に、少しだけ、
原さんって、晩年、老け役で登場せず、またマスコミにも
一切でなかったことでも有名。
 この企画の前は、短期間だけ活躍した女優さん的なイメージを
持っていたのですが、よく調べてみると、
 15歳で戦前にデビューし、最後は、忠臣蔵で40歳代ですか、、。
 ある意味、映画onlyで全力で駆け抜けた女優人生だったかもしれませんね。
やりきったぐらいの感覚はあったでしょう。
 さすがに、最後の40代の作品は容色は衰えた感がありますが
 この小津さんとの婚期を逃しつつあるハイミスの女性が
最後、思わぬ大逆転で美しすぎる花嫁姿を魅せて嫁いでいく
作品群がキャリアのベストかもしれませんね。

そんなことを思いました。

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でも、星的には、
☆☆☆☆1/2ぐらい。