memo  

「追憶」
監督・降旗康男
主演・岡田准一

 一体、何本、追憶というタイトルの映画があるのでしょう、、。
と言うのはさておき、観てきました。

 これ、監督さんの降旗康男をあげるより撮影の木村大作さんを
紹介したい。
 カメラ馬鹿一代。映画の撮影をしてほぼ半世紀。
 日本を代表するカメラマンです。
日本で映画のカメラというと、宮川さんとかが思い浮かぶと思いますが、
ちょっと違う。
 本人の馬鹿が付くぐらいの正直さが画面に出ているような実直な
撮り方。
 また、本人の話も少し常人からはぶっ飛んでて面白い。
 コントのキャラになったぐらい。
 ホントは、ピントの合わせ方がすごい上手いそうですが、
カメラ素人の私に言わせると、「八甲田山」とかが、典型だ
と思うんですが、
 もう冷酷なまでに、自然を切り取っている。映画の撮影とは
実際にある風景をキリとることだと言わんばかりの撮り方です。
 今作もそう、弱い光や逆光の日本海側の富山の美しさを
 極々自然にあるがままに撮っています。
 ググって知ったのは、この人、東映の人だと思っていたのですが、
東宝の人なんですね、、。ちょい意外。ちなみに今作も東宝です。
 木村大作オンパレードなのかと思っていましたが、
クレジットだともう一人、名前が上がっています。
 もう親父さん的な感じで若い人に大分任しているんですかね、、。
 現場での役割分担はわかりませんが。 

 なんか、知らない間に映画スターというか、俳優業での活躍
が目覚ましい岡田准一ですが、
 この人、ちょっと背が低い事を除けば、ハンサムだし、完璧ですね。
只、ちょっと背が低い。(ファンのかたごめんなさい二回言っちゃいました。)
 今作でも、幼馴染の小栗旬と対峙するシーンがけっこうあるのですが、
 ちょっと勝てそうにない、、。
 
 雰囲的には、デニス・ルヘインの「ミスティック・リバー」
にちょっとにているんですよね。映画の方は、見れていませんが、、。
 犯罪が絡んだ幼馴染の三人が、中年に成って再開しもう一回、
ミステリアスな関係が繰り広げられるみたいな、。
 この映画界、漫画原作とリブート物の最盛期のなか、
オリジナル脚本という本作、展開とか、申し分ないのですが、
ちょっとエンタメ性といいますか、フックが弱い気がしました。
 もっと、小栗旬への容疑のかかり方とか、怖さみたいなのを
煽っても、よかったのでは、、。この辺、自然体でストレートに撮る
降旗監督の演出なんでしょうかね、、。
 まぁ、リアル過ぎるというか、もっと煽って煽りまくってもいいのでは、
大人向けなのは、わかりますが。
 それと、ラストの木村文乃の Epiはちょっと作りすぎたような、、。
 私的には、少し興ざめでした。

 でも、尺的には、テレビでよくある二時間もののサスペンス・ドラマと
同じなのに、やっぱり映画は違う。
 重みや、脚本のできの良さ、凄みも感じました。

 ラストの安藤サクラのシークエンスは本当にいい。
 普通に日々を過ごすことと
何の取り柄もない極々平々凡々な普通な人々への讃歌になっています。

 普通にいい作品だと思いますよ。

☆☆☆☆☆。