tiyari 

「血槍富士」
監督・内田吐夢
主演・片岡千恵蔵

 これ、サイコー。最初は、ちょっと退屈かな、なんて、思ったけど、
ラストまで観たら、全然違った!!。
 正に脚本の勝利!!。

 よくよくググると、これ、アメリカの「駅馬車」みたいな
日本映画界内のリメイクらしいですね、、。 
 それで、原作付きに表記されていますが、
それにしても、恐ろしいほどの脚本の出来です。

 簡単に書くと、とあるって、遠州の東海道みたいですが、
そこの街道沿いと宿場町での出来事を描いた、群像劇。 
 それこそ、江戸時代らしい多種多様な階級の人々、老若男女が
登場し、話を展開していきます。
 
 しかし、これだけ、よくしかもうまく、
話を上手に絡められるものですね、、。 
一瞬の無駄な伏線や、絡みもない、全てが有機的に重複することもなく
絡んでいます。
 これは、正に、見事の一言。すごいな、昔の日本映画の
時代劇は、。

 あと、大名の野立てのシーンがあるのですが、しかし、
街道で往来を止めての野立てです。
 この辺も、体勢批判か、、。
 注目すべきは、この富士山のシーン、なんとマットペインティングです。 
 やっぱり雲待ちとか天気待ちとか、するのは、黒澤さんぐらいか、。
「黄色いハンカチ」では、山田さんも青空を待ちに待ったそうですが。 

 ネタバレですので鑑賞の予定のある方は、
もちろん、読まないでほしいのですが、
 これ、月形龍之介さんのEpiで終わってたら、よくある
人情話で、終わっていたと思うんですよ、、。
 本当に、良かったよかったでね、、。
 しかも、このEpiで神君家康公より給ひしの槍が安物だった
とかいう、当時からしたら体勢批判的なEpiも入っている。

 ところが、もう一本もちろん、片岡千恵蔵さんが主役なのだから、
ありました。しかも壮烈なやつが。
 全然人情話ではない、。

 まぁ、群像劇でありながら、二時間切っているし、無駄な挿話
なんて一切ないしで、
 日本映画の名作中の名作だと思います。
 脚本の勉強なんかにはもってこいですね。
 是非もなく、機会があれば、ご鑑賞ください。

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評価
☆☆☆☆☆ 満点っす。