bu 

「ブンミおじさんの森」
監督・アピチャートポン・ウィーラセータクン
主演・タナパット・サイサイマー

 タイ映画初の、カンヌ映画祭でのパルム・ドール賞、受賞作。
売り文句は、審査委員のティム・バートンが大絶賛。だとか。

 見た感想は、変わってるけど、見た感じ、わりと普通。
 ティム・バートンが喜んだというか、褒めたのはめっちゃよく分かる。
 あの人って、モロ、シザーハンズだと思って間違いないです。
 よく、モーションアニメ系で作品作ったりしてますが、
(今はモーションアニメに見えるCGだけど)
あっちのほうが本質で、ハリウッドというか、実写全盛のアメリカ映画界
だから、実写撮ってるみたいな、よくあんなマッチョなアメリカで
サバイブ出来たな、、とか思います。
 それは、置いといて、

 閑話休題。

 これね、タイだから、こうなのか、この監督の特質なのか、
タイでのドラマ性ってこういう感じなのか、タイ映画界でも変わってる
ほうなのか、よくわかりません、、。
 でもね、タイってGNPからいっても、差別でも侮辱でも
ないけど、世界でも田舎のほうというか、まだ人の温かみが残ってる
地方とか思ってても、結構、ラオスから出稼ぎの労働をバリバリ
入れててかつ、”給料に不満があるのか?”、とか、
”くさい”とか、露骨に差別してたり、
まぁ、農園持っているぐらいだから、このブンミおじさん
タイでもリッチなほうなんだろうけど、グローバル化というか、
人間ってどこでもいっしょなんだな、、とか思って暗くなったり
そんな田舎は天国みたいな感じでもないんだな、、と変にほっとしたり、、、。

 ただ、一番最初の元の奥さんが、うすーく画面に入ってるところは、
ドキッと普通にしますよね。
 ただ、ちょっとあのテクは多用しすぎ、、かな。ラストの部分は、
悪いけど、意味不明だった。
 終わり方としては、いいけど。

 これ、超リアルに消化すると、すべて一人の人生の今際の際の
幻覚、幻想だったと解釈はできますよね、、。
 また、80s老人映画の「コクーン」みたいな身も蓋もない解釈ですが、、。
 ブンミおじさんが洞窟にみんなを連れて行ったのも、
まぁ、典型的な、男性の女性の子宮とかへの回帰主義ですよね。
 森の奥へ連れて行くのも、その一環でしょう。

 挿話としては、いい話だと思うけど、すべてをもっている
女王の美醜の問題も突然入ってきますが、
 あれも、主人公の夢オチなのか、タイでは超有名な寓話なのか
いい話しなだけに、よくわからなくて、また唐突でわからなかったです。

 ラストも、上記したテクが使われるのですが、
あれって、坊さんで解脱したって意味なのか、
単純な映画的フックなのか、
 私が、理解できていないのか、ちょっとわからなかったです。
 でも、それこそキリスト教でもありますが、
スピリチュアルなものに重きを置いた映像作品なことは、
全編を通じて感じました。

 ただ、人間の生死というか、最期ってどんなドラマ、小説でも
一番のドラマなわけで、それで最期まで、引っ張っていきますが、
エンタメとしては、単純にフックが弱いかな、、、。
 まぁ、そういう文芸路線の映画がカンヌなどに出典されるのですが、、。

評価
☆☆☆。ぐらいかな。