bakumatu 

「幕末太陽傳」
監督・川島雄三
主演・フランキー堺

 いわゆる、邦画の映画史的ベスト級の作品。
今は亡きって言っていいのかな、日活の製作です。
前の記事つながりで、かんたんに邦画の社風っていうか、かんたんに
書くと、あくまでも、大づかみにですよ、、。
 例外の作品は多数あります。
 東宝はね、いわゆる、ハリウッド的プロデューサー方式を採用した
スタジオ、会社が完全に映画をコントロールするシステム。
ハリウッド映画だと思ってください。
 いまでも、資本金的には一番大きいのかな、映画会社で、、。
シネコンの数も一番多いと思います。
 筆者がギリギリ最後にゼロ戦燃ゆをみたのが、夏の
戦争映画最後ぐらいで、だけど、欧米に比べると、
レストアとか、している兵器が殆ど無いので、全部
円谷プロのVFXでしたが、、。庵野さんなど、その東宝の
夏の戦争映画を見るの楽しみだったっていってます。
 で、だいたい、殆ど戦争指導部の上から目線で、殆ど
反戦のテーマもない。逆に、戦後はデフレになるまで、
ほとんど、左の時代だったのにパージされなかったのが不思議なくらい。
 東宝で活躍した監督って殆ど名前挙げられないでしょ、、。それぐらい、
プロデューサーの力が強い。だけど、舛田利雄とかエンタメも追求しつつ
人間ドラマを骨太に歌い上げた監督は居ますけど。
 そして、東宝にあって唯一の例外が黒澤明さん。
予算も、スケも無制限に使わせた。まぁ、その弊害で変な作り方で
東宝を追い出されてから、長い間、映画作れなかったんだけど、、。
「七人の侍」でムリ通りさせてヒットしたからでしょう。
 長くなりそうなので、割愛して、東映は任侠路線&底辺というか、
低い目線の庶民を描いた映画。ただ、ここも、後の日活に負けず、ピンクバイオレンス
ってシリーズでエロいの作っていましたが、、。
 それと、忘れてはいけない、アニメも東映主導でした。
 東映アニメは宮さんが最初にバクさんと就職した職場で、そこの労組の
幹部をふたりでしてました。
 松竹は、芸術路線。この辺も、よく言われることですが、東宝は、アメリカに
製作方式を学びに行ってP主導になり、松竹は欧州にいったので、
監督主導の芸術路線になったって言われてます。
 はんなり、はんなり、のイメージですね。
 大映はね、どうしてか、知りませんが、市川雷蔵さんとか勝新さんの
シリーズを手堅く、低予算で作りながら、いつも、数年に一度、
大博打か、プロデューサーがすごいのか、知りませんが、
製作目的がいささか意味不明な大作志向!。それも、超がつくレベル。
 秦の始皇帝とか日本語で日本人で撮ったり、お釈迦さまの映画でしたっけ、
なんか、規模の大きいものを作ることは、素晴らしいみたいな社風が
あって、これ、日本人で日本向けに作って、受けるの?っていう映画を
作ります。
 企画段階で誰か、止めよろ、、的な、、。
 ただ、作品として残るので、後世の私たちは、助かってますが、、、。
新東宝とか、あるのですけど、徒花って言っていいのかな、、。
 ここは、東宝から、飛び出ちゃったんですかね、。詳しく知りません。
すいません。変わった映画ばっかり作っています。
 で、この映画を作った、日活ですが、、。ポルノに方向転換しただけあって、
一番、資金的に苦しそうだったのかな、まぁ、矢作俊彦さんとか、
熱烈なファンはいますが、言ったら、悪いけど、スターは育てたかもしれないけど
今の2時間ドラマにちょい足しぐらいの安っぽいエンタメ・アクション映画
を量産しましたよね。筆者みたいにあとから、見せてもらうと。
 それで、TVの台頭で邦画全体が斜陽になったときに、一番に路線転換を
強いられた感じ。ここのスターが、それこそ、
石原裕次郎さん、小林旭さん、浅丘ルリ子さん、赤木圭一郎さんでしょう。
 まぁ、同時代性ゼロの筆者が勝手に書いているので、逆に正確かもなんて、、。

 で、本作だけど、これ、川島雄三の代表作にして、日本映画史に
残る、名作。
 なんと、脚本に今村昌平の名前が載っているし、助監督で今村昌平が
ついているじゃない、、。ちょっと格が違いすぎる。今村昌平の名前でも
ビビるのに。
 これ、多分というか、見た感じ、落語の居残り佐平次と幕末の動乱
と品川の遊郭、をミックスして出来上がった、
バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいな超絶脚本です。
 のはずです。
 それと、あと、二三本、元ネタとして落語も入っているんでしょ。
 石原裕次郎は高杉晋作だし、来島又兵衛は出てくるわ、久坂玄瑞まで
出て来る。
 BTFに例えましたが、BTFというよりは、
作品の回し方はエディー・マーフィーの
ビバリーヒルズ・コップに近いような、、。
 だって、連れ三人と一銭ももたずに高級遊郭に入って、口八丁手八丁で
大活躍するんですよ、それこそ、佐平次が。

 ただね、面白くないことは、絶対ないんだけどね、これ、
詰め込みすぎというかね、大きなドラマや事件があって、
それを描くって、スタイルじゃなくて、なんだろう、
品川なだけに海鮮どんぶりみたいな感じ?
フランキー堺を中心にみんなで、ワーワー言っているうちに、
終わっちゃう感じでアイデアの放り込み方とか、ドラマの
豊富さとか、笑いとか、おいといて、ちょっともったいない感じ。
 すいません、その程度の感想で、、。
 前田洋子、左幸子さんの花魁のゴテゴテの美しさに食傷気味で、
izu
清楚で、可憐な芦川いづみさんの美しさが印象に残りました。
 しかも、このEpiを最後まで引っ張ってラストに持ってきているでしょう。

 また、ラストも、悪い風邪って言っていますが、
あれ、あきらかに労咳、結核ですよね。
 なんか、このあと、世相も動乱で荒れるし、
ほの暗さを見せつつ、死なないと、宣言し、櫓を漕いでいく
佐平次の姿に微妙な影とドラマを感じました。
 
評価。
☆☆☆☆。
映画史に残る名作に☆4ってあれですが、
そんなめちゃめちゃおもしろい作品とも思わなかったんだな、、、。
すいません。
若輩のわたくし、出直してきます。