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「ソロモンの偽証 後篇/裁判」
監督・成島出
主演・藤間涼子

 うーん、宮部みゆきのストーリテリングだけで、見てた感もあるので、
ちょっとラストは、不満だな、、。
 あっ、非ロードショー作品は、ほぼネタバレで書いていますので、
要注意です。


ネタバレしてます。
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 まぁ、ネタ的には、ショッキングで食いつきやすいけど、
実際は、無理筋っぽい中学生だけの裁判シーンがいよいよ後半で
開幕したのですけど、、。
 実際は、裁判の前の検察陣(涼子を含む)の捜査が
ミステリの面白さで、裁判と謳っておきながら、
裁判シーンでのびっくりは、あんまりないですよね。
 いわゆる、ハリウッドや外画のドラマなんかで行われる、
リーガル・サスペンス的な驚きの証人や、
ボコボコに、被告を証言した証人が、実は、反対尋問で逆にボコボコされて、
殆ど患者をみたことのない医者だったりとか、、。
そういったリーガルミステリ定番パターンが。
 ずーっと捜査での事実をなぞっているだけで、、。
 まぁ、最後に一応ありましたけど、あれも、既定路線で、
いわゆる、ミステリのツイスト的には、はっきり言って弱いです。
 というか、前遍で煽られた割には、安牌(あんぱい)的解決で、
かなり、失望のほうが大きかったのが、事実です。
 だけど、もし、驚天動地のツイストが待っていて、
生徒だけで処理できない事態になったたら、
定年一年前の松重豊があの長身で単身どう対処するのか、とか
思ってましたけど、
 倒れた、石井杏奈を運んだだけでした。
 というか、私も戦犯の一人でこの前の記事で、楽しみだと
煽った片棒担ぎなので、騙してたほうかもしれないけど、
宮部みゆきさんって、総じて、ものすごいマスを
相手にしているだけで、どこか優しいミステリなんですよね。
 長い間読んでないので、忘れていました。
 今回も、総じて、松子ちゃんは最大の悲劇ですが、
 一番安牌に落ち着いた感じ。
 はっきり言うと、不満は残ります。
 また、一応、ツィストなんでしょうけど、
あれも、ノックスの十戒的には反則。

 映画的には、あれだけの長尺の
原作を前後編で4時間半ぐらいで、読んでないのでわからないけど、
上手くまとめたほうなんでしょうね。
 原作も、連載そのものがすごい長期でエグかったらしい。
 ただ、原作はわからないけど、尾野真千子のナレ処理で
大分楽出来た感もあるし、総じて、あんまり高得点は
つけがたいです。

 やっぱり、中学生だけで、裁判するって、無理スジだし、
結局は、ファンタジーなんですよね、そんな感想を持ちました。
 ミステリーとして、何より弱いのが、欠点です。
 これだけは、さすがに成島監督も如何ともしがたい。

 石井杏奈のほうが、キャラ立ちしてて演技も旨いって
前の記事書きましたが、後篇に入り、
藤野涼子の出番がぐっと増え、キャラ立ち、
ど低音のセリフ回しも板についてきました。
 えっ、旨いじゃんって、、。すいません、チャラい批評で。
 というか、ぶっ倒れる演出か脚本かしりませんが、
あれは、ちょっと、、と思いましたけど。
 実は、中学生から人的正義感が通用しなくなるって
前の記事で書いたけど、後篇の感想は真逆で、
 ギリギリ、思春期の持つ、Don't trust over 30的な
ひりつくような正義感が出てました。
 そう、こんなふうに書くと、性差別かもしれないけど
善意で、ドンどんほじくり出して、どんどん駄目な方に
持っていく感じが、、。
 露出が石井杏奈に比べて負けてる感じですけど、
正統派演技派女優で頑張って欲しいですね。
 
 あのね、ミステリのラスト以上にびっくりしたのは、
エンドロールで流れる、
U2の "With or Wthout you" 私も、モロ世代で
好きなだけに、逆にびっくり。ちょっと詩の内容と
映画の内容がミスマッチだけど、多分、監督さんの選曲だと思う。
 か、Pの方の選曲だと、
だけど、これも製作委員会方式なんでしょ?。
 ちなみに、映画会社的には松竹になります。
全然松竹的ではありませんが。

 最後に、「荒神」の番宣までされて、
一番狡いのは、公共放送とか言ってもテレビ局だよな、、と。
きれいに騙されたぜ、ここが一番仕掛けじゃん、と。

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ソロモンの偽証 前篇・事件

評価、本当は3ぐらいだけど、
まぁ大作で、前作の流れで
☆☆☆☆。