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「シャイアン」
監督・ジョン・フォード
主演・リチャード・ウィドマーク

 どちらかと言うと古いタイプの西部劇を描いてきた、J・フォードが
人権に配慮したというか、野蛮人として描いてきた、ネイティブアメリカン
を正面から描いた作品。
 これ、徹底してナレーション、多分ジョン・ウェインだと思うんだけど。
が入っていますが、どっちかというと、史実モノに近い出来です。
 というのも、おいおい書いていきますが、これ、意図してそう
(この辺の仕事は、製作のしごとですが)してるのか、
スターを使わない配役と書くと、Rウィドマーク当りは怒るでしょうが、
この人、典型的な、超A級作品では脇、Bか1.5Aぐらいで主役ができる人で
はっきり言って、この映画、この人とめちゃめちゃ美しいのですが、
キャロル・ベイカーではしんどい。
 そこも含めて、キャスティングしてるなら、天才です。

 普通この手のあえて迫害ものと書きますが、
 悲劇的な史実映画を被害者サイドから描きますと、
ものすごい、陰惨な、もう悲惨さだけ訴えるような、作品に仕上がるのだけど、
この映画、それが、一切ありません。
 それこそ、死の行軍みたいなのやらされてるのに、極力残虐描写というか、
悲惨さの象徴として、キャロル・ベイカーが面倒を見ていた子供が出てきますが、
その悲惨さが一切ない。
 早い話し、シャイアンといえども、全然ネイティブ目線で映画を製作しておらず、
完全な白人の上から目線で作られています。
 それが、逆の意味で一切感情移入を許さない映画として仕上がり、
史実ティストにできていると言ったぐわい。
 だけど、これ、史実として、成り行きを知ったとしても、
 まぁ、最初から、迫害があったのはわかっているわけだから、
もっとどう迫害されていったか、何が根本的原因だったのか、
描かないと、成立しないと思うんですよ。
 そうすると、よくある、敗戦国が作った、陰惨系の映画に成っちゃうの
かな、まぁ、政治性や思想性を一切無視して脚本や映画も含めた創作
って無理だから、しょうがないとは思うけど。
  
 と史実モノっぽくって散々書いたけど、小さいEpiとか
キャラクターの振る舞いって往年のJフォードの作品そのまんまなんです。
 キャラは逆のこと言ってて、実際には、優しい思いやりのある行動を
するとか、、、。

 このあと、あまり名のある作品に出ていない、キャロル・ベイカーですが
異性マジックに筆者もハマっているかもしれないけど、
この作品では、きれいな金髪で典型的な美人白人女性として
登場していて、また、一見に値するぐらいの美しさです。
 Wikiでも、配役にダル・ナイフとか、リトルウルフとか、
当てられてて、字幕でも、総訳されてたけど、
 これも、最初に接触した欧米人がそう訳したからそうなったのかもしれませんが、
あれ、"鈍い小刀"とか、"小さき狼"とか、二語で名前がネイティブの
人って出来てたんですよね、、そう訳してほしかったな、、と。

 なんか、悲劇を描きながら、悲惨さがないという、また、
 史実物なのか、ドラマなのかもよくわからないというかなり奇妙なティストの
映画に成っています。

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