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「華麗なる激情」
監督・キャロル・リード
主演・チャールトン・ヘストン

 「第三の男」とか、「落ちた偶像」を撮った名匠、キャロル・リード、
ベン・ハーのチャールトン・ヘストン、主演ということで、
大歴史文芸大作と思っていましたが、概ね正解。
 鑑賞時間2時間20分でそんなに長い方の映画では
ありませんが、途中、休憩が入ります。
 いきなり、ミケランジェロの彫刻の名作たちをナレ付きで
日曜美術館なみに紹介され、相当いお硬い作品かと身構えますが、
そんなに難しい作品ではありません。

 これ、日本ではどうだったのかしりませんが、
アーヴィング・ストーンの「ミケランジェロ、苦悩と歓喜」という
ガチガチのおそらく欧米では大ヒットした原作がカチーンとあり
それを脚色した感じ。
 ということで、ミケランジェロの一生に焦点を当てている評伝と
いうよりシスティナ礼拝堂の天井画を依頼した教皇ユリウス二世との
愛憎劇に焦点が当てられております。

 途中でラファエロが出てきたのは、びっくりしましたが。
そんな時代関係なのこの二人。
 なんか、モーツァルトとベートーヴェンみたい。
 世界史好きとか言っても、その程度の知識な、私。

 まぁ、レックス・ハリソンが演じているのですが、
この戦争ばっかりしている教皇っていかがなものかと
大きなキリスト教的価値観から言うと思ってしまいますが、、。
 ミケランジェロに天井画を頼むぐらいで、芸術面にも
理解があり、わりと世界史といいますか、欧米では人気のある教皇
らしいですが、、(グーグル調べ)
 
 簡単に言うとチャールトン・ヘストンの頑固で不屈で、屈強なイメージが
ミケランジェロにかなり濃厚に投影されて居る気がしますが、。
 エンタメ作を創ってきたものの、一応創造という意味では、アーティストな
長年映画を創ってきたキャロル・リードがPがユリウス二世だったり。メディチ家
だったりするわけですが、Pとも互いに喧嘩もしつつ
俺たち沢山映画を創ってきたよな的な、なんかイギリスの初老のオヤジ
がパブでベロベロに酔ったあとお互いを支え合いながら
帰宅する感じ見えましたが、、、。
 ちょっと穿ち過ぎですか?。

 未完の大作というので、ミケランジェロがは歯をくいしばって絶筆する
のかと思いきや、先にユリウス二世のほうが
だめになっちゃうんですね、、、、。それも戦争好きの戦争がたたって。
 ちょっと意外なラストでした。

 ミケランジェロが唯一愛した女性として、ダイアン・シレントが
出てきますが、これも、実は涙涙の脚本的には結構いいエピソードの
はずですが、Cリードの演出が下手なのか、二人で消化しきれていないのか
私的には、すいませんが邪魔なエピとして感じました。

 これ、おっさんのそれも仕事上でしかつきあいのない揉め同士の
愛憎の話なんですよね。
 この大天井画も、意図的に壮大なものにして意趣返しをしたとか
私なんか性悪説なので、思っちゃったりします。
 というか、やるからには、それこそ、めちゃめちゃすごいものを
創ってやるって芸術家としてのまさに簡単に発注だけして俺の時間奪いやがってぐらいの
誇りでしょうね。
(やっぱり意趣返しか?)
 すいません、性根が悪くて、、。

 あと、画的に驚いたのは、ハリウッドの十八番のマット画の合成が
多いことといって、二回ぐらいだし、露骨すぎてすぐ絵との合成だって
わかりますが、このころからやってんですね。SWのEpi4までいきますから。
 採掘場に隠れ、雲の形から神の啓示を受けるシーンも
どうだろう、凝る監督なら、雲を探しまくってスケジュールを
押しまくったか?。
 でも、あれミケランジェロが描く絵そのまんまに近いから
感動巣するのかもしれませんね、、。判断迷います。

 まぁ、若干長さは感じますが、ボロボロになったユリウス二世を
ラスト見ると、いい映画を見させてもらったなぁ、、、と
変な感動を感じます。
 
 キャロル・リードも、私に言わせると、「第三の男」からここまで、
さしたるヒットもなく、本作と次の「オリバー」で何故かの
大ヒットと、私的には、はっきり言ってあまりどころかほとんど
そんなに評価していません。
 NHKの教育で映画をやっていたおり、「第三の男」の前に監督した
「落ちた偶像」もたまたま(どころかかなり期待して)見ましたが、
頑張ってるのはわかるけどもう一つだった。
 「第三の男」も悪いけど、実際は当時、キレキレだった、
オーソン・ウェルズが相当アイデアとか白と黒のダイナミズムの絵も
照明や撮影と音楽ですね、いわゆる、Cリードとべっこのところで
映画を盛り上げていると思う。
 国際スパイ小説の元祖グレアム・グリーンの原作も含めてね。 
 (もし、キャロル・リードの全部指示だったらごめんなさい)

 世界史の勉強にはもってこいの映画、、。
エンタメ的にはちょっとつらいと思うけど。
カラオケでマイ・ウェイとか歌う人には向いていると思う。

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評価
☆☆☆。