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「クワイエット・プレイス」
監督・ジョン・クラシンスキー
主演・エミリー・ブラント/ジョン・クラシンスキー

 これ、予告編を見たときは、イージーであざとい設定で
ちょっとなぁ、、、と思っていたんですけど、
見てみたら大はつかないけど、十分満足の一作でした。

 SFとホラーの中間みたいな作品で文明が滅んでしまったあとの
世界を描いてるし、相手も一応メキシコに隕石が落下したのち
というのがパッと視覚情報のみですが観客には提示されます。

 というと、私が勝手に高評価を与えて世間的にはもう一つだった
「ライフ」
 に近い感じ。

 残念ながら、今回は完全ネタバレでいきます。
 ↑なにが残念なのかわかりませんが、、。

    <ネタバレ> 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 これ、音を立てたらだめというより、喋ったらだめっていう大前提
がありまして、冒頭のスーパーマーケット(グローセリー)
から、躰が少し立てる音はバンバン観客に聞こえております。
 現在の映画機器の集音マイクの性能の高さは恐ろしい。 
 音が駄目、というより、喋り声と周囲に聞こえるような
大きな音がだめという感じ。

 音、結構してんじゃん。って最初はツッコミを相当いれたくなりますが、
後半は危機度がどんどん逼迫してきまして、あんまり気にならなくなります。

 ここで言葉を発せない、また恐怖を感じても叫び声をあげられないとか
言葉で意思の疎通が出来ないとか、そのもどかしさで悲惨さを煽っている感じで
この辺があざとく感じてたわけです。

sand
 みんな音がしないように砂を撒いた路を裸足で歩きます。
 たとえ外でも、何日、何日って画面には出ますが、
冬は無理だろう、、て思うんだけど、
 早い話、この音を立ててはいけないというのは、
演出なんですよ。
 愛し合い、幸せにどうにか暮らしているけれども、愛しているとすら
言えない。可愛そうな一家の、、、。
 あの感じだと、囁きぐらいだと、大丈夫な気もしますが。
 と、この音に関してはすぐツッコミを入れてしまいたくなります。

eldersisiter
 実際に耳が不自由な長女。
 本当の聾唖者に演技をさせているそうで、
 決してかわいいとは言えそうにないけど、この娘、意志の強さと
存在感が半端じゃありません。

 この作品、早い話、設定としては、ワンアイデアものなんで、
話が90分位持つのか心配していたんですけど、、、。
 全然大丈夫です。
 さすがハリウッド、うまくエピソードを重ね、大きな話にしますわ。

 相手のモンスター、音に敏感というより、目が見えないらしい。
ココらへんもちょっとミソ。

warninglight
 こうやって、光のシグナルでお互いの意思の疎通、
危機状態を知らせ合います。

 この一家だけ孤立している感じですけど、
アメリカの田舎とかみんなあんな感じで生活しているんですよ。
 流石に自給自足っぽくはないけど、週に一回だけ買い物に行って、
持てないぐらいワゴンに積んで帰ってくる。

 それと、家族のストーリーにしたというより、
小さい子がたくさん出てくるお話で、途中新生児まで生まれます。
 子供って騒がしいでしょ、、。そこで、さらに我慢して暮らしている
かわいそう感が煽られるという、あざとい脚本なんですよ。

 エミリー・ブラントの出産とかすったもんだが次々とあるのですが、
stocky
 この子供だけの穀物貯蔵棟のシークエンスもめっちゃドキドキ。
底なし沼にみたいになるわ、ここで、モンスターにさえ襲われます。

 そして、音がしてるとか散々ツッコミを入れてた私も、
思わず感動して落涙しそうになった。父親の自己犠牲のシークエンス。

dads


dadsscream
 
 ここは、マジで泣きそうだった。
 この父親役のジョン・クラシンスキーが監督と脚本まで務めていて、
事実上この人の映画です。

 問題のモンスターですが、
 ちょっとグロい画像が続きますが、

monster
 こんな感じ。
 音をよく聞くとき、頭を開きめっちゃ大きな耳の穴が出てきます。
そして、カマキリみたいな鋭く長い手を持ち、それを折り曲げてどしんどしんと
音を立てて歩きまわります。
monsterwhole
 人が聞こえず、補聴器で拾えるとある周波数を聞くと
うるさいのか、よくわかりませんが、こんな感じになります。
 もうちょっと伏線を大きく貼っても良さそうな気もしましたが、
まぁ、いいでしょう。

 ホラーにありがちなバッドエンディングかと思いきや、
エヴァの一話目みたいな、めっちゃかっこいい寸止め型で終わります。

coollast
 これが、そのラストカット。

 もう退治出来るわよ、来なさい!って感じ。

 ワンアイデアものにしてはよく出来ていると思うけど、
だからといって、満点って感じではないんだな、、、。
 しばらくすると、やっぱりご都合主義で喋ったらだめという設定
にしたかったんだなとか、思っちゃうし、、、。
 それにホラーにしてはあまり怖くないし。
(これはホラー苦手な私には助かった)
 
 まぁ☆4つぐらい、でしょうか。

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評価
☆☆☆☆