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「プライベート・ライアン」
監督・スティーブン・スピルバーグ
主演・トム・ハンクス

 ミリオタにして戦争映画オタクの私としてはめっちゃ盛り上がる筈
いや持ち上げないといけない本作ですが、。
 これがもう一つなんだなぁ。

 ただ長いってこともあるけど、今見直すと力はありますよね。
 なんか力任せの無手勝流ですけど。

 スピルバーグもすんごいロングキャリアでそれこそ端から端まで
撮っている人ですけど、大型書店の映画評論のコーナーでも
あんまりスピルバーグ論って見ないでしょ、この人って哲学とか
主張とか究極言えば、ドラマとかもあんまりない人なんです。
 ちょい前NHKBSで放送してた、マイノリティ・リポート
撮影中に足したと思われるアイデア満載でごちゃがちゃした感じに
なってるなぁって思ったから。
 再三このブログでも書いていますが、初期の「激突」から「ジョーズ」から
基本同じ方法論で撮ってて、ライブ感覚ですか、撮ってて
これどう、それどう、あれどうってアイデア足していって
ここぶつかったほうが面白いとか、引っかかったほうが面白いとか
子供が遊んでいる感じにしてしまうんですね。
 大筋で脚本は守るみたいですけど。
 その分、すんごい早撮り、撮影やプリプロとかでも予定が伸びたとか
一切ないらしくて、スタジオとしては大助かり。
 逆に、黒澤さんとか、テッド・ギリアムとか、撮り直したり
する人のほうが、評論が書かれたり、ファンではカルト的人気を得たりする。
 
 スピルバーグってアマチュアで映画の体裁にすらなっていない
始めて8ミリフィルムを買ってもらった時に一番に撮ったのが
戦争映画→戦争ごっこだったていうから、
キャリアで一度は戦争映画を撮りたかったはず。
 
 本作、作中でセリフで一個分隊で一人を助けに行くことすら
意味がないって言ってますけど、そこに引っかるのでなくて、
全体として、まとまりがないですよね。
 ダラダラ、その場で戦争映画でありがちのおもしろエピソードを
連続して組み込んでいる感じで。
 撮っている分には楽しいと思うけど、見てる側は冗長に少し感じる。
 
 しかし、最初の上陸シーンは映画としての掴み的には当時でも
今も、すごいなぁと、思いましたけど、、。

 ミリオタとして突っ込ませてもらうと、米陸軍って志願、徴兵問わず。
普通にライフル小隊(部隊)そこから志願→で空挺部隊(ライアンの居たところ)
で、そこから更に志願で→レンジャー部隊って順序に精鋭化されてまして
まぁ、最初のシーンでもギリギリ砲台がある厳しい戦場になっていましたが
「史上最大の作戦」でポール・アンカが演じている部隊が
そうなんですけど、あれぐらいの縄梯子と梯子で崖登るとか、
もっと強烈な戦場に送り込まれます。
 それに、いくら大卒でも、高校の先生がレンジャーの大尉とか
ちょっと無理。まぁ、だからフックの謎解きになっているんですけど。

 それと、多分、一番ミリヲタを泣かせたのが、あのデッチアップの
タイガー戦車ですね。
 二重転輪から結構よくできているのに、なんだろう、
砲塔の幅が、、決定的に狭い。あそこで嘘だってすぐバレてしまう。
 特に、デヴィッド・エアなんていう、現場監督みたいな人が
フューリーで本物のタイガー戦車持ち出したでしょ。(映画界初)
 射撃の砲弾とか駐退機の後退とかどうやってのか知りませんが、。

 あと、救われたライアンが老後に自分は価値のある人生を
本当に送ったのかというめちゃめちゃ重い問いかけを自身にまた、
観客に投げかけるのも、ドラマとしてはいいですけど、
はっきり言って、人間って生きている意味ってないですよ。
生きていることにこそ、意味があるって思うしか無い。
 ちょっと重すぎるんですよ。

 もっとボロクソ書くつもりが、意外と普通に。
映画としては力はありますが、典型的なスピルバーグムーヴィーに
仕上がっていると思います。

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評価
☆☆☆☆。