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「ファイヤーフォックス」
監督・クリント・イーストウッド
主演・クリント・イーストウッド

 この作品はね、冒険小説マニアかどうかで、
めちゃめちゃ評価が別れると思います。
 海外ミステリファンでも良い、もしくは翻訳物、スパイものを
読んでる人だったら、否定できないんですよ。
 原作が偉大すぎて、、、。

 ただ、既知なしでこの映画を見た場合、一般の人は
ただただ普通のエンタメ映画だと言う感想を得て終わりでしょう。
 正直言ってあんまり面白くない。
  
 原作は、クレイグ・トーマスという冒険小説作家の第一人者が書いていまして、
私は、ハンター、ル・カレやヒギンズ、バクリイなどと同じレベルで
評価します。
 そのクレイグ・トーマスのベストワークと言っても良いでしょう。
 書籍のほうは、「ファイアフォックス」らしいですが、
そんなことどっちでもよろしい。
book
 amazonには飛びません。

 冒険小説、スパイもの、海外ミステリの分野でも、
恐らく年間ランキングどころか、オールタイムのランキングで
いつも上位10位までには入る大傑作です。
 原作ははっきり言うと神作です。史上最高に面白いフィクションの
一つだと言い切れます。
  
 しかし、、、、。どうして映画がもう一つ面白くないか、
これが謎なのです。(いや実はわかっているんですけど)
 しかも、この脚本化はかなり原作に忠実。
 あまり刈り取りもせず、付け足しもせず、破綻なく二時間ものとして
再構成されています。
 多分、それが行けないのかもしれないんだなぁ、。

WS000002 
 このちょっとおかしな感じの老人がクレイグ・トーマスものでは頻繁に登場する
なんだろう、スパイマスターぐらいかな、最前線の仕事はしないけど
その上司、危険地帯へ部下を送るぐらいの人。
オーブリーさんです。
 
WS000003
 前半はモスクワを舞台にしたスパイもの。
 非常に良く出来ています。緊張感もたっぷり。
 一回スイッチングが入るし、もう一回スイッチする。

WS000010
 ソ連内部厳戒態勢の空軍基地目指して転々とします。

WS000009
 どうにか、基地までたどり着いてMig31ファイヤーフォックスを目の前にする
ガントことイーストウッド。

 あとで詳細な画像を貼りますが、このデザインもなぁ、当時でもどうかって
感じだったんだけど、山下いくとあたりに発注してたらすごいことになってたと
思うけど。

 ここまで来るためにどれだけの犠牲があったことか、
敵国に潜入してその最新鋭の戦闘機を奪取するんですから
これぐらい当たり前か、。

WS000011 
 個人的には、このシーンが大好き。
追いかける側も確実にガントに迫ってきます。基地に潜入したと同時に
身元が完全にバレます。
 アメリカ人だと、しかも、パイロットだと。
名前もかっちりバレます。そしてアグレッサー部隊。ミグについて
一番詳しいパイロットだと。
WS000012
 その報告を受ける。ケネス・コリー。この人、SWで帝国軍の将校を
演じてますね。
 すると、Mig31を近くで調査しに来たんでしょうか?なんて部下が言ったら、
そんなことぐらいでこんな犠牲を払って来るわけがないと言い切る
ケネス・コリー。
 ここでサボタージュを企てていそうなユダヤ人科学者への逮捕を命じ
ファイヤーフォックスへのいかなる人物の接近も禁じる命令をするのですが、
なんと、ここで、火災報知器が、、、、。

 きゃー。出来すぎ!!。しかも、ユダヤ人全員が悲惨な末路を
たどるなか、倒れたユダヤ人科学者の瞳に写ったのは、バイザーを
下ろして悠然と歩いてくるガント!。
 出来すぎ!。

 飛んでっちゃう、ファイヤーフォックス。
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 犠牲は報われたのでしょうか。

 ここまでがなんと、ラストまでのアクションの20分ではなくて
丁度折り返しの半分です。
 ひえー、ここから、航空映画として作品はアクション戦争映画に切り替わるんです。
 まさに狐狩りのように奪われたファイヤーフォックスを狩り出し追う
ソ連軍部首脳部。
WS000017
 ここはね、小説だとめっちゃスリリングなんだけど
映画だと大づかみな感じは否めない。

 もちろん、Mig31なんて飛行機はこの世にないので全部VFXになっちゃう。
 ここから先、残り映画半分であるこの映画の特殊効果を担うのが、
これまたね、私から言わせるとちょっと問題ありの男が絡んできます。
 その名もジョン・ダイクストラ。
 この人もねちょっと問題なんだわ。
 はっきり言って特撮ファンからすると、すごいんだか、安っぽく手を抜いて
仕事する男か全然わからないんです。
 正直結論から言うと、安っぽいVFXを大量に作った人なんだな。
 あんまり悪口は言いたくないけど。
 この人ね、SWのepi4のVFX肝、それも合成の肝である
モーションコントロールカメラをルーカスのILMとともに
開発した本人でもあるんですよ。 
 だけど、まぁ法廷闘争があったとか、色々言われていますが、
完全にルーカスと袂を分かち、SWの帝国の逆襲Epi5では名前すらクレジットされていません。
 やっぱり完全にオタクのルーカスと方向性が違ったんだなぁ、
想像するに難くありません。なんとなくわかるもん。
 そのダイクストラが作ったのが、SWを安っぽくしただけのTVドラマ
私も本当に小さい頃好きで見てましたよ、「宇宙空母ギャラクティカ」。
 子供ながらに思いながらみてたもん。
 安っぽく売りつけて儲けるやつだなぁって、見てけど本家のSWとは
段違いだもん。
WS000018
 この北極圏での給油もすごいアイデアです。
 これは、ハリウッドお得意の1/1のプロップ。
 日本でも東宝でゼロ戦ぐらいは作りますよね。 

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 このバイザー反射して映る空とかはかっこいいと思うんだな。
だけど、、、。
WS000020
 空中は、、
WS000021
 
 これも、メタリックな色を利用して色々ひと手間加えているらしんだけど
完全にミニチュアに予め撮影した空撮の映像の合成でしょ。
 今だから言えるんじゃなくて、当時も、ちょっとなぁ、、と思ってた。
 楽しんでたけど、残念な気持ちは心の奥底にあった。
WS000023
 で、原作にあったかどうか覚えていないけど、
 このSW、Epi4のデス・スターのトレンチ・ランっぽいカットといい。

 一言、うーん。

 ダイクストラがルーカスと別れてというか、本作でも、
すごい仕事をしたとは言い難いんじゃないでしょうか、、。
 その後のVFXの仕事全てにおいても、、、。

 原作はですね、なんと、冒頭なんだからもうネタバレとかの世界
とかじゃないと思いますが、、。
 あのファイヤーフォックス2号機との空戦で破片が燃料タンクに
あたり、燃料計が、、。
 それが、続編「ファイヤーフォックス・ダウン」です。
もちろん小説のみで映画化はされておりません。
 人によると冒険小説としては「ファイヤーフォックス・ダウン」の
ほうが面白いという人までいます。
 私はねあまりにも「ファイヤーフォックス」もちろん小説の方ですが、
そのできが良かっただけに続編は怖くて読めなくています。
 
 まぁ、色々グダグダ書きましたが、そこそこヒットしたらしいし
そんなに面白くないこともないので、ボロクソ言に言うべき映画ではありませんが、
なんとなく、普通の人が見てめちゃめちゃおもしろい映画ではないことは
ファンの私でもわかる。
 ちょっと適当な形容が思い浮かばないんだけど
小説をそのまま破綻なく二時間に落とし込み、
さらーっと映像化しただけなんですよね。
 あんまり映画として芸が感じられないというか、原作へのリスペクトとか
愛はすこーしだけ感じるけど。

olane
 最後にファイヤーフォックスのよく出来た画像をネットで拾ってきたので
ペタと貼ります。

 多分、すごい原作だけど、すごい映画ではないんですね。

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