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「ヴェラクルス」
監督・ロバート・アルドリッチ
主演・ゲーリー・クーパー/バート・ランカスター

 ロバート・アルドリッチはね、ほんとすごいんですよ、、。
 私的には超名匠。
 すごいフィルモグラフィーでしてコンプリなんて全然できていませんが
ややもすればB級っぽいティストはありますが、
それも作品の時間が短いってだけで鑑賞者のことを考えての配慮かも。
(実は映画館のサイドでしょうが)
 どの作品もエンタメに徹していて面白く、ほぼハズレ無し。
 それと一番私がこの人を評価するのは、このエンタメで雇われ監督の
見本みたいな人なのにどの作品もきっちり人間が描かているということ、、。
 前からひつこく書いていますが、映画のノベライズって小説だと
ほぼ中編。
 そこで全員をキャラ立ちさせてかつ心情までドラマの中で描ききるなんて
ほぼ不可能といってもいい。それをうまく人間ドラマを織り込んで描いている。
 脚本も兼ねているなんて聞いたことないけど、脚本を読んでこいつとこいつは
ぎくしゃくするはずだなとか、ここでちょこっと演出を加えると
人物像に深みが出るなぁとか、感じて読み込んでいるってことなんですよ。
 似た作風といいますか、立ち位置も似ている人がいまして、
ドン・シーゲル。
 だけど、人間ドラマを入れてるところは完全にロバート・アルドリッチの
完勝ですね。

 押井守も、ロバート・アルドリッチのことを絶賛していまして
(作品群の後半なんかリアルタイムなんじゃない?)
 東宝の舛田利雄だって言ってますね。私も大賛成。
 ふたりともオリジナル企画とかでなくて映画会社・スタジオ(二つは同義)の
発注のまま監督して全員が楽しめるエンタメに仕上げなおかつ
ヒューマン・ドラマに仕上げる。
 まさに職人です。

 今回も、メキシコに流れていった負け組アメリカ人二人の話。
実際ゲーリー・クーパーの役どころは元南軍士官。本当に負けてる。
 ギターリストのポール・ギルバートの曲で
Down to Mexicoって曲がありまして、
fd
 アルバム・ジャケ。

 こんな言い方本当は好きじゃないけど、日本でも犯罪を犯したり
食い詰めて東南アジアに行っちゃう人いますよね。
 その国のGDPとかこの言い方もいやなんだけど発展が遅れているところ
に落ちてっちゃうって感じがこのころからアメリカでもあります。
 
 「明日に向かって撃て」でも、ボリビアでしたか、
そこまで流されちゃって行きますしね。
 だけど、実際は、グリンゴとかいわれて、外人なんで目立つし
こういう田舎ほどよそ者は目立つしであまりうまく行った例を
しりませんが、、。

 閑話休題。

 戦争中のメキシコ。伯爵夫人を護衛するつもりが
その馬車に金貨がたんまり積まれていることに気付き誰を信じ良いやらの
大争奪戦になります。
 全員で疑心暗鬼になるわけでこの辺がエンタメとして面白い。
 裏切れば裏切るほど金貨の分前は増える勘定に。

 主演のゲーリー・クーパーは真昼の決闘からたった数年でこの
作品ですが、もう老けててちょっとアクションシーンはつらそうですね。
 なんといっても、初出演は1920年代の人ですから、、、。
 一方バート・ランカスターはどっちかというと渋い抑え役が
多い印象でしたが、この作品では、いきがってG・クーパーに
食って掛かる活きのいい役を演じております。
 ちょっと意外でした。

 えーもう終わっちゃうのーっていうぐらい短い作品ですが、
もっとラストに馬車ごと奪って追いかけてとか色々あると思ってた。
最後の撃ち合いが超有名らしい。
 だけど、ここにもドラマが、、。
 ネタバレになるので
ロバート・アルドリッチに敬意を表して書きませんけど、、。

関係記事。
この本、面白い。「誰も語らなかったジブリを語ろう」 

「絶対監督主義~シネマラボ 押井守たちの挑戦」が面白かった。 

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ワイルド・アパッチ 

評価。
☆☆☆☆☆。