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「キューポラのある街」
監督・浦山桐郎
主演・吉永小百合

 日本映画史のベストランキングなどでよく載っていますが、
そのとおりの傑作。
  
 文芸的だったり左翼的だったりするとは思っていたけど、
こんなにエンタメ度が高い作品だとは思わなかった。
 あと、日活だということにも驚き!。
 こんな作品も撮っていたんだ、と。
 高度経済成長期や所得倍増とかいうものの、、。
 まだまだ貧しい日本人。それも東京の郊外の埼玉県川口市。
 鋳物工場が立ち並ぶとナレでいうから、工業地帯なんですね。
 そこの中小工場、中小企業の職人さんの一家の話。
 トントン話が進むし、平凡な毎日を退屈に生きている
というものの、同じ一日は決して無い。
 そんな感じです。

 とにかく、どこでロケしたのかしりませんが、(実際埼玉県川口市らしい)
モノクロの暗い感じとキューポラというと、戦車を思い出してしまうのですが、
煙突から出る黒い煙と相まって環境が良いとはいえない。
 それにこの貧しさがめちゃめちゃリアル。貧しいといっても、
TVがある家にはあるし、やってけないわけではない。
 脇には芸達者な役者さんが揃っていますが、この監督さん、
とにかく子供への演出がめちゃめちゃうまいですね、、。
 あと子供そのものの描き方が。特に男の子ね。
 女子はやっぱり性の壁があるせいか、どの子も男の子からみた
女子生徒って感じですけど。
 元々児童文学か今で言うYA本みたいなのが原作だったらしいし、
 それと、一番ネックなのは、このあと、大スターになることを
知っているからかはわかりませんが、
 吉永小百合が中学生に見えない。脇の友達の娘は見えるんですけど、、。
 美人の超元気なド天然の娘って感じには見えますが、、、。
 ネックはそれぐらいですかね。

 こんなエンタメ度に満ちた映画とは全然思いませんでした。

 北朝鮮への帰国運動も描かれているのが、
リアルというべきか、イデオロギーの対立があったとか、
当時は今よりだいぶ左よりだったと理解すべきか
本当に悩みますけど、、、。

 ただ高度経済成長期を豊かな中間層があって全員を正社員にして
とか、この映画を見る限り嘘ですね。
 貧しい人は貧しいし。
 ちょっと暗い気分にはさせられましたが、、、。

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評価
☆☆☆☆☆。