拳銃王  

「拳銃王」
監督・ヘンリー・キング
主演・グレゴリー・ペック

 善良さ、ディーセンシー(decency)を知的、真面目さなんかを売りにしてる
グレゴリー・ペックが悪役とまではいかないまでも悪党を演じた西部劇。
 
 はっきり言うとミスキャスト。ひげまで伸ばしてイメチェンを図っているけど
何十人も撃ち殺したガンスリンガーには見えない。
 逆にグレゴリー・ペックが演じることで
ジミィー・リンゴーの格が上に上がっちゃったみたいな作品。
 で、結果そこのミスマッチが映画のミソになっている気もするので
全体として微妙。

 カタギになっちゃったペギィとその子供になかなか会えないところなど
流れ者の辛さを描いてるけど脚本と裏腹、
全然グレゴリー・ペックが悪そうに見えない。
 これがグレゴリー・ペックの名優たる所以、またはハリウッドなんかでよく言う
それこそ役者の存在感だと思います。

 ただ、私に言わせるとハリウッド中でも異色の演出家の
ヘンリー・キングの力量は十二分に発揮されてまして。
 といっても、脚本は別の人が書いてるわけなんですが、
バラしてしまうとこのヘンリーキングって人は、バッドエンディングの帝王です。
 最初に見たのって「頭上の敵機」なんだけど、あとで書くことになると
思うけど、モチベーションを上げることに尽力し尽くした主人公がストレスで
精神疾患に陥って終わるというあれぐらい観客の期待を外した作品もないでしょう。
 バッドエンディングでドラマを作っているわけで、本作も確実にそう。
 
 あんな、ほぼ反則スレスレぐらいの後ろから声をかけて早抜きに持っていって
撃ち殺すってすんごいラストだなぁ、、と
 そして、そのリンゴーを倒した男も、名は上げたけれどいつ襲われるかわからない
身になって荒野に去っていくって、、。

 よくハリウッドは単純明快なハッピーエンドでとか言いますけど、
逆こういう作品を産める土壌もしくは、こんな演出家にギャラを払い
食わせていたんたんだなとか、思っちゃいます。

 映画としては、短くてたーっと見れるけど、
もう一つかな、、。

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評価
☆☆。