AI  

「A.I.」
監督・スティーブン・スピルバーグ
主演・ハーレイ・ジョエル・オスメント

 これ、キューブリックの企画だっていう宣伝文句だったけど
あの人間に残酷な映画というか企画を好むキューブリックが
こんなハートフルな映画をプロデュースか企画か、するとは
絶対に思えないけど、、、。 

 だけど、これ、かなり悲しいお話ということでは、あり得るかも、、。
 本作、脚本がスピルバーグ本人というのが一番ネックだったかもとか思っていますが。
 どうでしょう??。

 まずやはりAIというか、ロボットが主人公なのが、
どう転んでも感情移入がものすごく難しい。
 可愛いし、可愛そうに見えるんだけど、もう簡単に解決方法を書いちゃうけど
別の生き方があるんじゃねとか思ってしまう。
 それと、脚本執筆時にどういう位置関係に在るのか知りませんが
「鉄腕アトム」とそっくりですよね。
 最初の初期設定と良い、あのホウレン草を食べて壊れてしまいそうになるところとか。
アトムの場合、壊れもせずにかちゃって少々困った顔しながら
お腹を開けてどしゃっと食べたやつ出してくれますが、、。

 ロボットが捕らえられ解体されるショーをもっと残酷に描写すると面白くなったかな。

 それとどう?ラストに決着を付けるかだけが、最後の興味になるんだけど。
 これ、「パッセンジャー」って映画と同じで、
基本無理筋な脚本なんです。
 どうにもならないことを結末に持っていっている脚本。
 ロボットはまず人ではないから。
 と書いてしまうとどんどん論破していくだけの人間味が感じられない悩み相談みたいに
なるんだけど。

 ただ、ラストにジェット・ヘリに乗って沈んでしまったマンハッタンに
いく辺りのビジュアルは、SFとしてはちょっと使い古した感もありますが、
ディヴィッドとともにスピルバーグも散々考えたんだなぁ、、と思わされますが。

 もうラストはおわかりでしょうが、いかにディヴィッドを人にするかでなく
ディヴィドに救いを与えるか、みたいな映画になってしまいます。
 この終わり方も子供の多少マザコン感はありますが
母親を独占するというのは特に小さな男の子の夢です。
 あれで救われたのか、救うって段階で叶えられていないわけだから、
映画のラストとしては良いのか、感情移入がしにくいとかボロクソに書きましたが
色々考えさせられる映画ではあります。
 まず、AIやロボットが替えが効かない人に本当になりたいと
思うかぐらいから問題にしないといけないと思うけど。
 私の考えが歪んでいるのかもしれないけど、
ロボットのほうが遥かに長生きできそうな、、。
 
 丸々作中で出てくるピノキオについても、ピノキオのアウトラインしか
知りませんが、本作との関係で深く考察できるような気もします。

 あとひとつだけ、これVFXといいますか、主に破壊ショーの場面だと思いますが、
ロボットの特撮、パペットですね。
 にターミネーターやそのあとキャメロンと有名になったCG全盛の今ではやや古めの
スタン・ウィンストンが仕切っています。
 CG全盛の前ぐらいの作品ですけどいかにハリウッドが
カメラアングルで少しでも隠れている部分があるとそこから
なにかしらアクチュエーターやポンプで実際に動かしているかって
ことを表してます。

 関係記事。
レディ・プレイヤー1

マイノリティ・リポート 

太陽の帝国 

意外とスピルバーグの映画ってこのブログ扱ってないんだな。
驚き。 

評価。
☆☆☆。