映画と感想

簡単な映画評です。シネコンで見ようが、DVDで見ようがTVで見ようが、無慈悲に書いていきます(笑)。

カテゴリ:洋画 > ホラー

5
thing  

「遊星からの物体X」
監督・ジョン・カーペンター
主演・カート・ラッセル

 こんな超有名映画をなんと初見。
 私自身があんまりホラーが好きじゃないというのと、
ジョン・カーペンターも80年代前半から
ずーっと80年代のエンタメ界を駆け抜けた人ですけど
リアルタイムでぶつかった世代の人たちだと私よりちょっと上ぐらいなのかな、。 
    
 だけど、SFティストということもあるけどめっちゃ面白い。
 一気観でした。

  もともとは西部劇で有名なハワード・ホークスの作品があり
そこからのリメイクらしいけど、その前に超有名な原作が在るらしい。
タイトルは「影が行く」。

 まずもって設定が南極基地というのが良い。
 SFファンだとこの段階で胸がキュンキュン。
 庵野さんのエヴァでも頻繁に南極が登場するし、
毛利衛でしたかね、この言葉を言ったのは。
 アニメのタイトルにもなった「宇宙より遠い場所」とはまさにこの場所の事。
 酸素と気圧が正常だってだけでほとんど異世界です。
 多分、人だけに限らず一番生物が生存しにくい地域です。
 その証拠にまずもってそこを繁殖地としている生物の種が恐ろしく少ない。
 
 ただ、この映画の場合、ミステリでよくある閉鎖空間。逃げられないし限られた場所と
言う意味で選ばれたかもしれなし、
 私自身あんまり詳しくありませんが、ホラー作家の大家、
ラブクラフトの南極を舞台にした作品「狂気の山脈」を
モチーフにしてるのかもしれません。

 ただ、見るとわかるけど、エンタメとしてトントン拍子を重んじたからかは
知りませんが、もう一つ南極といいますか、極地ならではの、、
という設定が脚本上や構成的にうまく利用されていないような。
 もう少し、尋常じゃない寒さとも戦っているとか
シリアス感を出す演出を加えても良かったような。
 南極だとさもありなんというか、何でもありだと言う部分はあると思いますけど。

 怖さはそれほどないし、面白いことは面白いんだけど、
ここまでグロく描かないといけないのか?という疑問は残りますね。
 というか、多分人間ってこれTHE THINGってタイトルなんですけど
実際はなにかはわからない(細胞レベルの)けどそれが人や動物と
まったく同じ姿になれるってところがポイントで、その正体がバレたときに
グロいもの(当時ではパペット系の処理ですけど)で描写している。
 人ってカチッと形がないとあんまり恐怖を感じないのかな、、と
思うぐらい。
 だけど、「寄生獣」そのものですね。表現というかデザインも含めて。
 パクりとはあえて書きませんが。
 あと、誰が同化しているかわからないと言って縛り上げて血液検査するあたりは
ジョン・カーペンターの「ゼイリブ」に近いものを感じましたけど。

 もういっちょのツッコミどころは、火炎放射器。
 これも、もう「エイリアン」で使われてて、まぁ燃やして殺菌するしかないって
気持ちとかわかるんだけどちょっと、、、、と。

 ワタシ的トリビアとしては「プラトーン」でタフな黒人兵、キング役を演じていた
キース・ディヴィッドが超名バイプレイヤーですけど
割とセリフのある役で出ていることかな。
 これがデビューらしいです。

 なんか、色々ケチを付けましたが、
 ホラーというよりSFとしてめちゃめちゃ面白かったです。

関連記事。
バーニング・オーシャン

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス

バックドラフト 

評価。
☆☆☆☆☆。

4
qw   

「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」
監督・ジョン・クラシンスキー
主演・エミリー・ブラント 

 前作を見たので観てみました。
 だけど、どうなんだろう、前作も、結構音してるじゃんとか、
設定があざといとか、さんざん突っ込んだけど、どうなんだろう??。

 相変わらず、それなりによく出来ているとは思うんだけど、
めちゃめちゃ面白いかというと微妙。
 続編って難しいってよく言うけど、そこに全く抗わず前作からそっくりそのまま
で作ったって感じ。
 エミリー・ブラントにクワイエット・プレイス3の構想があるって
監督で旦那のジョン・クラシンスキーが言ったそうだけど、
これなら作れそう。

 完全ネタバレです。
 ご注意。といっても、もう公開から一ヶ月あたりで上映期間終了間際ですが



◇◇◇◇ネタバレ◇◇◇◇




 映画の冒頭のつかみは、エイリアンたちの侵攻その日。

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 なぞの巨大なものが落下中。

WS000003
 街は大混乱。

 だけど、ここでも、静かにしてれば、やり過ごせるっていう演出が
随所に描かれています。これで一作目を観ていない人にも設定を理解してもらえます。
 まぁだけど、それは一作目を見ていれば、観客は知っています。

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 家を捨て旅立つ三人。今度は闇雲に騒ぎ出す赤ちゃんも
一緒です。

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 そこで出会った謎の男性。と言っても、髭面でわかんないけど、
野球の試合で一緒に観戦してた近所の男性です。

WS000010

 ラジオからかかる曲を手がかりに海の向こう、”島”と
エイリアンかクリーチャーと呼ぶべきかをわからないけど倒す方策を
見つけ出す姉。
 
 本作では、これを大きく取り出して、ラジオ局を使った一大反転攻勢に
出るのかと思ったら、違うんだな、、。 
 ちょっと興ざめ。

 今回はお姉ちゃんのラジオ大作戦もあり家族がバラバラになります。
 しかし、ピンチと戦いを見事にシンクロさせた編集と構成が見事。

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波止場で生き残りの人たちに襲われる姉とキリアン・マーフィー。

WS000022
エミリー・ブラントもエイリアンと1on1。

 赤ちゃん用の酸素ボンベで爆破を試みるんだけど、
なんと
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 火にはやたら強かったエイリアン。

 ここの別の場所なのに同時に全てをシンクロさせる
演出というか、構成?編集は見事。


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 そして、姉が目指す海の向こうに楽園は確かにあった。

WS000025
 モーションブラーがかかちゃってよくわかんないと思うけど
エイリアンはこんな感じ。

 前作 の記事でエイリアンの頭の開いたところは
画像を貼ってるんで参考にしてください。 
 このエイリアンのデザインがもう一つ陳腐なのも、あまりクラシンスキーが
そういったことに興味ないんだろうけど、この映画の魅力を大きく削いでいて
「エイリアン」とかにもう一つ迫れないんだなぁ、と。
 クラシンスキーが描きたいのは、ドラマであって、しかも家族愛などの
エイリアンとかクリーチャーとかはどっちでも良いんだろうなあと
観ててつくづく思う。
 家族第一主義のアメリカなんかでは受けるんだろうなぁと
想像が易い。
 
 ラジオ局で大きな仕掛けがあって全エイリアンが、、と思うんだけれど
本作ではそうはなりません。
 
 代わりに戦う第二世代たち。

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 弟。
WS000027 
 姉。

 続編でよくあるどんどん全てがインフレ化して過剰になることを
やめた結果、前作とほぼ同じ映画になったというのが、
正直なところ。

 ラジオ局でハウリングを流せば、あの地域かラジオを持っている限り
エイリアンをある程度制圧出来るのにと思うのですが、
 それは、三作目のお楽しみかもしれません。

 結構音してるじゃん、、というツッコミには2作観て
ようやく答えというか悟りにたどり着きました。
 わりと音がしてるから、いつ襲われるかわからないという恐怖を
感じろということなのでしょう。

 だけど、この映画前作から引き続き、本作もなんだけど、全然怖くないんですよね。
 ホラー映画のほら来る来るっていう演出あるでしょ、
あれも殆どない。
 あるんだけど、そんなに煽らない。

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 最後にレッドカーペットで着飾っているエミリー・ブラント女史。

 この人が、オール・ユー・ニード・イズ・キル 以降、
「メリー・ポピンズ・リターンズ」とか
VFX系映画の女優さんになるとは全然思わなかったけど、、。

 もうちょっとホラーとして怖いかSFとして設定が凝って
いるとレジェンドになったと思うけど、、、。

 前作の雰囲気を味わいたい人にはおすすめだけど、 
ほぼ同じティストで新しさがない気がします。

関係記事。
クワイエット・プレイス 

オール・ユー・ニード・イズ・キル 

ダンケルク

評価。
おまけぐらいで
☆☆☆☆。

4
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「トレマーズ」
監督・ロン・アンダーウッド
主演・ケヴィンベーコン

 これね、プロットから完全にスルーしてたんだけど、
めっちゃ評判のいい映画なんですね。

で、見てみました。

 典型的なB級映画で脚本の出来の良いヤツです。
 というか、脚本の出来が良いってすべてのどんな映画に当てはまる
褒め言葉なので、怪しいというか、ズルいんですけど
映画評論とか文学系で映画専攻してる方も困ればバンバン使ってください。
 指導教官が困りますから。

 映画全体に覆うチープ感と正式名称とかよく知りませんが、
メカニカル・プロップとかアニマルプロップがちょっと時代を感じる
のが難点ですかね。
 このメカニカル・プロップの技術もはっきり言って
ハリウッドのVFX会社の腕の見せ所と言うか、
日本の映像制作会社が太刀打ちできないパートです。
よく、「ジュラシックパーク」でCGで制作された
恐竜が話題になりましたが、画角的に全体像が写っているとき
だけ3DCGで後はあの映画もほぼメカニカルプロップですから。

 Wikiで知りましたが、日本では映画館で公開になっていませんが
本国では5作目まで作られる大ヒットでTSUTAYA、etc
でDVDなどで日本でも見られるようです。

 脚本がいいというか、破綻と無理がないんですね。
理屈と道理があっていると言うか、、。
 ラストのモンスターのやっつけ方もめちゃめちゃカタストロフィあるし。
 よく出来てんなぁの一言。
 みなさんが褒めるのも一理あり。

 この映画は、監督の名前なんかより
製作者のゲイル・アン・ハードについてたくさん書くべき。
そのフィルモグラフィーを見ればヒット作の連続なのはわかるわ。
旦那はJキャメロンだわ。もうひとりもすごい。
 なんだろう。SFアクション映画制作の第一人者。
 前にもちょこっと書きましたが、Jキャメロンが離婚する時に
ターミネーターの権利すべてをわたしたのがこのゲイル・アン・ハード
です。
 まぁ凡作に終わり構想を止めてしまった
ターミネーター作品もありますが、
(ターミネーター リ・ジェネシスです。見ないようにしましょう) 

関係記事。
ターミネーター

ターミネーター 3 

評価
☆☆☆☆。


 

4
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「シャイニング」
監督・スタンリー・キューブリック
主演・ジャック・ニコルソン

 私、度々このブログで書いてきましたが、
映画に飽きてしまったあるころ、めためた本(翻訳エンタメ小説)ばっかり
読んでいる時期があり、その中でも、スティーブン・キングは
ほぼコンプリしていてフェイヴァリットに入ります。
 ベストといってもいいぐらい。
 で、キューブリックも好きでほぼコンプリしてて
と言うことで、この両者がもろにかぶるこの作品を
長年楽しみにしつつ時を経て参りました。
 
 で、ワタシ的には先に原作を読んだ状態でなかなか映画の方を
見られないでいたのですが、
まぁこれだけ有名な作品なので、キーショットとかキーシーンとか
ある程度知っていましたけど、フルで見たのは初めてです。


ネタバレしてます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ズバリ感想を言うと、どうなんだろう?。

 私ってキューブリックとキングでは実はキングのほうが
好きかもしれない。
 それはスーパーナチュラルをどう捉えるかってことの
意味合いがキングに近いのかもしれないというか、
 キングに洗脳されているかもしれないということ。

 はっきり書くと、ホラーとしてはもう一つだと思うんですよ。
「2001年、、」でSF映画の歴史に残るような作品を作ったキューブリック
本作でも、ホラー映画史を書き換える作品を作りたいと
取り組んだそうですが。
 結末と展開を原作既読で知っているからかもしれないけど、
 これ、怖くないでしょ。 

 まぁホラー映画特有の観客にショックを与える法則はあまり踏襲
してないキューブリックですけど、、、。
 それと、私がキューブリックのフィルモグラフィの順番を
取り違えていたんだけど、この作品のあと「フルメタル・ジャケット」なんですよね。
 あれも、ミリオタの私としてどストライクの作品でシークエンスとか
すげえーなと思う部分はあるけど全体としての構成ははっきり言って
破綻してるでしょ。
まぁ同じ戦争映画の「突撃」も微妙に破綻してますけど、、。
 だから、もうフィルモグラフィー的には下り坂だったのかなとか、。

 エゴの塊みたいなキューブリック、そしてもうひとり本当に
EGO(イージーオー)ってあだ名を友人からもっと前から頂戴していたクラーク。
 キューブリックが、実際企画を持ちかけたのはキューブリックなのにクラーク
の作品をレイプしてやったぜと、言った、キューブリック。
 そしてそれを、、レイプしあったのはお互いだと言い返したクラーク。
 それと同じ様にというかこの作品に対するキングの評論が手厳しいというか、
こっちもまさに喧嘩ですね。
 キューブリックはものすごい予算かけて映画を作ったけど私は
28ドルのタイプライターと紙だけだと、、。

 さっきちょこっと書いたいわゆるスーパーナチュラルに
関する立ち位置の完全な違いですよね。
 このことはキューブリックもインタビューで既に触れていて、
スーパーナチュラルは論理的に分解出来ないから、、どうのこうのと。
 キューブリックって「現金に、、」でも「2001、、、」でも
盛んにチェスを出したり、とにかくステップをキチキチ踏んでサスペンス感
を煽っている「現金に、、、」みたいなのが好みです。
 そこのスーパーナチュラルに対する立ち位置の違いって
信条の違いだから永遠に和解というか理解し合えない。 
 で、見てないので全然知りませんがもっと原作に近づけた
TVドラマ版が制作されたそうですがこれは単に出来が悪いらしい。
 原作は文庫本でも分厚いのが二冊の長めの小説なので
ちょっと映像化はどう作っても難しいかもしれません。

 逆に驚いたのはこれが本当に驚いたんですけど、
意外に原作をめちゃめちゃ踏襲してキューブリックが
作っているところですね。
 あのキューブリックがここまで、原作に忠実に作るかと、。
 あそこないなぁ、とか思ったのって植木の恐竜に襲われるところとか
まぁ、この映画よりもっと映画的なラストを持つ原作の
どっかーんのラストですね。 
 ただ、ハーランの死はびっくり。原作であったっけとにかく
おもしろくて原作はペラペラページを捲っていましたから。
 いまのVFXでも植木の恐竜や動物に襲われるって相当難しそうだし、
ホテルのボイラーの大爆発でエンドってB級映画を現代文学の
テクで書いていると言われるキングだから成立するのであって、
はっきり言ってこのラストはキューブリックはおろか、普通の演出家
がチョイスするラストとしてもそれこそ、本当にB級映画になっちゃう。 
 まぁ、大体この結果になるのが、キングの映像化作品の概ねだと
思ってもらえれば正しいです。

 下り坂っていうのも、キューブリック得意の左右完全対称のカットとか
あんまりなかった。
 ホテルのセットも好きなロココ式でしたっけに作り変えるかと思いきや
割と普通で、えー普通じゃんと。
 今ではスポーツ中継なんかでも当たり前になったステディカムですね。
 よくこの「シャイニング」で開発されたと言われていますが
概ねどころか、映画史的には正しいんですけど、もう「突撃」のころから
キューブリックは時代考証をオミットしてまでやっています。
 冒頭のトレンチでのカメラ移動がそうです。
 あのトレンチってカメラが移動できる幅に作られていて実際より
幅が相当広いらしい。WW1を経験していない日本人にはもう一つピンと
来ませんが板がきちっと轢かれているだけでも出来すぎだとか。
 この正式名称忘れてしまいましたが、無限深淵なんとかって
いうんですけど、これって静止画のカメラマンから始まったキューブリック
からすれば、永遠に憧れなのです。どんどん自身の作品(静止画)に入っていける。
 実は日本のアニメもそうで、左右のパン、フォローは永遠に出来ますが、
大きめの美術を書いてそれをちょこっと寄ったり引いたり出来ますが
2秒以上動かすともうかなり見てて辛いですね。
 その証拠にエヴァの庵野さんもシン・ゴジラの前の
実写を撮ったときもNゲージで永遠にやってました。 
 三輪車のカットは相当すごいなぁと思ったけど、庭木の迷路は
 どうだか、、。

 ただキューブリック感は満載ですね。この作品でも奥さん役の
シェリー・デュヴァルを相当追い詰めて撮ったらしいんですけど
「バリー・リンドン」でも、ただただ美女の主演の女優が
恐怖にかられて叫び声を上げて逃げ回るシーンがあるんですけど
「Its johnny」の超有名シーンはそれを想起しましたし。
 この映画のあまり怖くない理由って本作って「2001、、」
と同じで一方的にやられるという恐怖でなく、
対決なんですよね。
 HALとボーマンの戦いだったのが、ジャック・ニコルソンとシェリー・デュヴァル
の戦いに置き換わっていると、、、。
 でチェスと同じで五分五分のほうがおもしろいじゃんみたいな。

 あのわがままなキューブリックがこれだけキングのEpi拾って
作っていることで、キングには溜飲を下げてほしいんですけど
キングもこの誰も居ないシーズンオフのホテルって設定思いついた時
小躍りしたって言いますから、相当思い入れのあった作品だったと思います。

 なんか、文句ばっかりの記事になりましたが、
一応は見れて満足の一本です。

関係記事。
ブレードランナー ファイナルカット 

ショーシャンクの空に

ディパーテッド

博士の異常な愛情

評価
☆☆☆☆。

4
qwiet 

「クワイエット・プレイス」
監督・ジョン・クラシンスキー
主演・エミリー・ブラント/ジョン・クラシンスキー

 これ、予告編を見たときは、イージーであざとい設定で
ちょっとなぁ、、、と思っていたんですけど、
見てみたら大はつかないけど、十分満足の一作でした。

 SFとホラーの中間みたいな作品で文明が滅んでしまったあとの
世界を描いてるし、相手も一応メキシコに隕石が落下したのち
というのがパッと視覚情報のみですが観客には提示されます。

 というと、私が勝手に高評価を与えて世間的にはもう一つだった
「ライフ」
 に近い感じ。

 残念ながら、今回は完全ネタバレでいきます。
 ↑なにが残念なのかわかりませんが、、。

    <ネタバレ> 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 これ、音を立てたらだめというより、喋ったらだめっていう大前提
がありまして、冒頭のスーパーマーケット(グローセリー)
から、躰が少し立てる音はバンバン観客に聞こえております。
 現在の映画機器の集音マイクの性能の高さは恐ろしい。 
 音が駄目、というより、喋り声と周囲に聞こえるような
大きな音がだめという感じ。

 音、結構してんじゃん。って最初はツッコミを相当いれたくなりますが、
後半は危機度がどんどん逼迫してきまして、あんまり気にならなくなります。

 ここで言葉を発せない、また恐怖を感じても叫び声をあげられないとか
言葉で意思の疎通が出来ないとか、そのもどかしさで悲惨さを煽っている感じで
この辺があざとく感じてたわけです。

sand
 みんな音がしないように砂を撒いた路を裸足で歩きます。
 たとえ外でも、何日、何日って画面には出ますが、
冬は無理だろう、、て思うんだけど、
 早い話、この音を立ててはいけないというのは、
演出なんですよ。
 愛し合い、幸せにどうにか暮らしているけれども、愛しているとすら
言えない。可愛そうな一家の、、、。
 あの感じだと、囁きぐらいだと、大丈夫な気もしますが。
 と、この音に関してはすぐツッコミを入れてしまいたくなります。

eldersisiter
 実際に耳が不自由な長女。
 本当の聾唖者に演技をさせているそうで、
 決してかわいいとは言えそうにないけど、この娘、意志の強さと
存在感が半端じゃありません。

 この作品、早い話、設定としては、ワンアイデアものなんで、
話が90分位持つのか心配していたんですけど、、、。
 全然大丈夫です。
 さすがハリウッド、うまくエピソードを重ね、大きな話にしますわ。

 相手のモンスター、音に敏感というより、目が見えないらしい。
ココらへんもちょっとミソ。

warninglight
 こうやって、光のシグナルでお互いの意思の疎通、
危機状態を知らせ合います。

 この一家だけ孤立している感じですけど、
アメリカの田舎とかみんなあんな感じで生活しているんですよ。
 流石に自給自足っぽくはないけど、週に一回だけ買い物に行って、
持てないぐらいワゴンに積んで帰ってくる。

 それと、家族のストーリーにしたというより、
小さい子がたくさん出てくるお話で、途中新生児まで生まれます。
 子供って騒がしいでしょ、、。そこで、さらに我慢して暮らしている
かわいそう感が煽られるという、あざとい脚本なんですよ。

 エミリー・ブラントの出産とかすったもんだが次々とあるのですが、
stocky
 この子供だけの穀物貯蔵棟のシークエンスもめっちゃドキドキ。
底なし沼にみたいになるわ、ここで、モンスターにさえ襲われます。

 そして、音がしてるとか散々ツッコミを入れてた私も、
思わず感動して落涙しそうになった。父親の自己犠牲のシークエンス。

dads


dadsscream
 
 ここは、マジで泣きそうだった。
 この父親役のジョン・クラシンスキーが監督と脚本まで務めていて、
事実上この人の映画です。

 問題のモンスターですが、
 ちょっとグロい画像が続きますが、

monster
 こんな感じ。
 音をよく聞くとき、頭を開きめっちゃ大きな耳の穴が出てきます。
そして、カマキリみたいな鋭く長い手を持ち、それを折り曲げてどしんどしんと
音を立てて歩きまわります。
monsterwhole
 人が聞こえず、補聴器で拾えるとある周波数を聞くと
うるさいのか、よくわかりませんが、こんな感じになります。
 もうちょっと伏線を大きく貼っても良さそうな気もしましたが、
まぁ、いいでしょう。

 ホラーにありがちなバッドエンディングかと思いきや、
エヴァの一話目みたいな、めっちゃかっこいい寸止め型で終わります。

coollast
 これが、そのラストカット。

 もう退治出来るわよ、来なさい!って感じ。

 ワンアイデアものにしてはよく出来ていると思うけど、
だからといって、満点って感じではないんだな、、、。
 しばらくすると、やっぱりご都合主義で喋ったらだめという設定
にしたかったんだなとか、思っちゃうし、、、。
 それにホラーにしてはあまり怖くないし。
(これはホラー苦手な私には助かった)
 
 まぁ☆4つぐらい、でしょうか。

関係記事
「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

評価
☆☆☆☆

5
mummy 

「ザ・マミー 呪われた砂漠の女王」
監督・アレックス・カーツマン
主演・トム・クルーズ

 これ、冒頭にちょこっとクレジットされますが、ユニバーサル映画で
制作される、ダークユニバースと呼ばれる、ホラーのリブート作品の一本です。
 本編、Tクルーズで「ミイラ」(オリジナルはそういうタイトル)
次作は、ハビエル・バルデムで「フランケンシュタインの花嫁」らしい、んでその次は
ジョニー・デップで「透明男」となるらしい。 
 で、この作品にも出てきましたが"プロディジウム"という
ロンドンの地下で秘密基地みたいにしてモンスターや超自然現象を
色々研究している、特別機関が三作通じて関係してくるらしい。 
 ラッセル・クロウが、(たぶんジキルとハイド)やけにキャラ立ちさせてましたから、
全部にボスキャラとして、(いいほうの、と悪い方の)出るのではないでしょうか、、。

 本作、一言感想としては、
 おもしろかった。意外と、、というのが、つくけど、、、。

 単純に盗掘して、ミイラに襲われて、、、って単純な展開だったら嫌だなって
思ってたんだけど、違ってよかった。
 やっぱりハリウッドの脚本家さん考えてるは、、、色々と。

 これ、どのへんまで、書いてセーフか全然わかんないんだけど、
トムクルーズの立ち位置が微妙なんですよ、、。
 いいほうか、悪いほうか、わかんない。
 それが、最後まで、話を引っぱる要因になってるし、
展開がスリリングでした。

 ただ、まぁ、ミイラをエンドクレジットでundeadってスタントの
ところでなってましたが、、ほぼ、ゾンビ感覚で扱っているのは、
芸がないような気がするのと、まぁ突き詰めるとそうなるのかな、、と
楽しみつつ不満な面もありました。
 一応、ハンナプトラでもありましたが、
ミイラサイドは虫を自由に扱えるという
特技を持っています、あと、砂嵐かな。
 それと、この監督さん、良かれと思ってでしょうが、
小ネタでギャグというか、コメディリリーフをいれてきます、
うーんどうだろう、、。面白くないことないけど、ちょっと全体の雰囲気からは
ミスマッチ。
  それと、多分欧米人というか、キリスト教国関係の人がショックなのは、
 冒頭、十字軍のお墓がロンドン後可で見つかったってあるんですが、
その死体が、どっちにつくかという、、、この騎士たちが跪くシーンはちょっと
衝撃ではないかと、、。
 それと、最初に書くべきでしたが、本作、ホラーと言うより、アクション映画ですね。
ハムナプトラがそうだったように、、。
 まぁ、そこそこ怖いシーンがありますが、次々どうなるどうなるみたいな
引っ張り方でドライブしてます。
 特に、冒頭の戦闘シーンから一気ですよ、、展開は。
 それと、ツッコマせていただくなら、ロンドンの地下の水が
あんなに澄んでてきれいな筈がないと、、。

 でも、ミイラの叩くだけって戦い方は、新感覚!。
 
 

 ネタバレ


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 これ、ね、トム・クルーズの立ち位置がキーだって書きましたが、
流石に、最後の戦いはすごいし、目をみはるものがあったし、
あの、目玉に光彩っていうんですか、あれが倍になるアイデアは
かっちょいい。

 でも、ちょっと最後の最後の処理の仕方はずるいわ、、。

 逆に勉強になりました。なんとなく、ああ描くと、
ハッピーエンドになるというのは。 

 極めて、ハリウッド的で面白いです。
アクション映画としてみましょう。

関係記事
ハムナプトラ 失われた砂漠の都

ハムナプトラ2 黄金のピラミッド
 
スタートレック BEYOND

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 

評価、一応総じて、面白かったので、おまけで5つ
☆☆☆☆☆。

4
k 

「哭声 コクソン」
監督・ナ・ホンジン
主演・クァク・ドウォン

 実にジャンルわけが難しい映画なわけですが
映画.comだとサスペンス・スリラーってことになっているの
ですが、これ、ホラーですね。
 んで、一言でいっちゃうとホラー的要素が全部入ってる。
 それこそ、ゾンビモノまで、、。
 だけど、主人公が警官だったりするけど、
これ、最初からサスペンスものだと思って見る人
は多分居ないと思う。
 
 そして、ホラーとしては、過去のあらゆるホラーを
内包した作品であり、それゆえに全部合わせすぎていてもう一つ怖くない部分と、
えも言われぬ迫力で観ている人に迫ってく力があります。
怖くないというのは、いわゆる、ハリウッド的なショッカー
(これも、オタク・キングの岡田さんがよく使う言葉なんですが) 
びっくりさせるという意味では、あんまり怖くないですね。 
 それよりも、本作の肝は、twistの部分にあって、
ラスト部分でのtwistは、見事の一言だし、
 これが、一番のフックになっていて最初の聖書の引用にまで
翻っていきます。
 私、基本ホラーが苦手なほうなので、
見慣れていないし、そう感じたのかもしれないけど、
映画としては、ちょっと長いかな、、。
 
 國村隼さんがめちゃめちゃ重要な役で出ているのですが、
もちろん日本人役なのですが、
 やっぱりこんな風に日本人を今でも韓国の人は
みているのかと、勘ぐると正直ちょっとつらいかな、、。
 潜在的、恐怖と不可侵なものみたいに、、。
 國村さんの演技も押さえた感じでいいのですが
何を隠そう、主人公のクァク・ドウォンの演技が秀逸。
 最初の、トロ芸から、怯え芸、怒り芸、泣き芸、叫び芸。
放心芸まで、
 これでもかというほど、感情の発露が半端じゃありません。

 ポスターや、冒頭の引用からもあるように
 人が疑い、決めてかかることで、全てが決まってしまうような
ところにまで、恐怖の元を言及している作品で
 けっこう嫌ミスならぬ、"嫌ホラー"ですね、。

☆☆☆☆。

5
lo 

「ロスト・バケーション」
監督・ジャウム・コニット=セラ
主演・ブレイク・ライブリー

 これ、予告編のときから注目してたんですよ、、。

 「ロストバケーション」って丁度夏休み向けみたいな題名の映画ですが、
原題は、"The shallows"って言います。そう「浅瀬」ぐらいの感じ?。
 原題のほうが陸地は見えてるのに、
サメに襲われ小さな岩礁に孤立する雰囲気を一番出しているような、
 ほぼ、ワンアイデアというか、ワンシチュエーションの映画なので、
主演のブレイク・ライブリー出突っ張りっぱりです。
 けれど、この人、全然知らなかった、、ドラマ「ゴシップガール」
で有名になったらしい。
 スタイル抜群なんですが、ドロップアウトしそうな医学生役にしては
なんかちょっと老けて見えたり、めちゃめちゃ綺麗に見えたりするんですよね、、。
後で、触れますが、28歳でもう娘さんがいて二人目も(もう生まれた?)
生まれるらしい、、。

 サメものって言えば、それまでですが、やっぱりいろいろ仕掛けがあって
面白かったです。
 つまりアイデアがいっぱいつめ込まれてる。
 あと、最初に書きますが、正直結構怖かった、、。当たり前ですが。
 こっちは予備知識がある程度あるので、「志村後ろ後ろ」状態になるわけですよ。
 水中シーンはほぼ全部怖い。
 この作品、最大のキーはやっぱり浜辺というか、陸地が見えてるってことに尽きる
と思うんですよ。サメ映画の名作「ジョーズ」でも、ロバート・ショーが言っていたでしょ、
「船が着て助かるってわかってからが怖かったぜ」って。
 つめ込まれたアイデアですが、サメのアタックも描写が一つでなくて、
いろいろあって怖い。酔っぱらいのおっさんが襲われるところがあるんですが、
ここをこのブレイク・ライブリーの演技だけで見せてます。
役者魂の見せ所です。怪獣映画でも役者さんの演技が全てだといいますから。
 又、岩礁回りを泳ぐサメの時間を測って、それを利用するところなど、
めちゃめちゃスリリングです。
 そしてこの辺まで予告編で描かれていたので、書いてもいいと思うのですが、
岩礁が潮の満ち引きで沈んじゃう、、。
 えーっどうしたらいいのよ、、。

 あと、ヴィジュアルエフェクトについてもですが、
相変わらずですが、どうやって撮ってんの?の連続です。
水っていうレイヤーを一つかけて情報量を落とせるんで、
コンポジットは楽だと思うんですが、「白鯨との闘い」
もそうだったんですが、あっ、ここは、プロップ、ここは、CGとか
全然わかりません。

 「ジョーズ」も思わぬ方法でジョーズをぶっ飛ばすのですが、
本作はどうでしょうね、、。
 これ、否応なくっていうか、もうダメだとおもったところで、
超大逆転が待ってるとだけ、書いときます。
 まぁ、このよく出来た脚本と映画に敬意を表してふせておきましょう。

 帰り、本屋さんに行ったとき、あれどっかで見た人が表紙になってるなぁ、、と
思ってたら、ブレイク・ライブリー
elle 
 その人じゃ、ないですか、この女性誌、どの世代向けの
雑誌か私には分かり兼ねますが、有名な人なんですかね??。
 記事読むと、設定は、メキシコだったんですが、オーストラリアで
撮影したらしい、で、女性の敵、日焼けがマジで大変で、今もチョット後が残っている
と言ってました。
 
 簡単に言うと脚本の勝利でワンアイデアのワンシュチュエーションもので
これだけ、アイデアを詰め込んでリッチに作れるなんて
 流石です。5つ星でしょ!!。

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