映画と感想

簡単な映画評です。シネコンで見ようが、DVDで見ようがTVで見ようが、無慈悲に書いていきます(笑)。

カテゴリ:邦画 > サスペンス

5
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「見えない目撃者」
監督・森淳一
主演・吉岡里帆

 大傑作!。
 邦画映画史上に残るサスペンスだと言っても良い。
 今年、ほとんど邦画見れてないし、日本の場合邦画でも半分ぐらいは
アニメの感覚なんだけど、総合的な出来として今年ベストは間違いなし。

 と、大絶賛してたらえーっと気付いたんだけど、
これ韓国映画のリメイクなんですね。
韓国Verは2011年に作られてまして、
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 ポスターがこれ、主演の吉岡里帆の役はキム・ハヌル。
 これだけ韓流ドラマ日本で放送してるから見てる作品あるかなぁと
思って調べたけど、私韓流でもほぼ時代劇しか見ないので
全然なかったですね。
 書いちゃって良いのかなぁ、これ丸々一本某超有名動画共有サイトに
UPされてまして、もちろん韓国語のまんまで韓国語わからない
私には無理なんだけど、最初と最後だけ見ましたが日本Verとちょっと違うんですね。
 地下鉄のシーンだけ英語の字幕のついた動画もUPされてるんだけど
ここも、概ねいっしょなんだけど、始まりが若干違う。
 まぁ大分日本の脚本家さんもあれこれアイデアを出してるわけです。

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 韓国Verのシーン。
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 犬がかわいい。

 それで、2015年に中華Verが作られまして、
そのポスターがこれ↓
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 GAGAが配給したのか、、なんとなく、わかる気がする。

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 そのシーン。

 韓→中→日と来ているわけですが、
盲目の女性の主人公がマフラーを巻いているとか、
わりとイメージを踏襲しようとしている感もありますね。
 あと刑事さんたちの衣装とか。

 いつもなら、ネタバレでバリバリ書くんだけど、これだけ、出来が良いと
ネタバレなことはなにも書きたくない。
 なんの予備知識もなく楽しんでほしい。
 そんな感じです。
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 かっちょいい、吉岡里帆と走るパル。

 これ、弟を自分が運転する車での事故で亡くし自身も失明し
とすごいバックグラウンドがあるんだけどあまりにもサスペンスというか
脚本の話の転がし方が良く出来ていて、それを忘れちゃうぐらい。
 だけど、その事故もすんごい重要な伏線が隠されてますので、
要注意です。

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 この地下鉄でのシーンも
 日韓で少しだけ違います。
 ここも、スマホを使った超緊迫のめちゃめちゃよく出来たシーンです。
 
 この映画、企画とかプロットとか聞くと、ミステリっぽい感じを
受けると思いますが、いわゆる謎解きのパズルっぽいミステリじゃないですね。
 犯人の位置がどことか、ツィストがどうのって感じでもない。
 ハリウッドなんかでよくある、サスペンスかスリラーです。
 この地下鉄のシークエンスも含め、
ラストなんかめちゃめちゃ怖いですから、、。

 もちろん名画によくある脚本の勝利の作品なんですけど、
どうすごいかと言うと、とにかくアイデアというかネタ
がてんこ盛りなんです。
 実際だとあんなとっさに思いつくかなぁっとか思うんだけど、
映画ならすごいの一言で、かっこいいとケレン味まで加わる。
 ラストなんか本当に感服したもん。
 これ以上ない。

 主演の吉岡里帆ですが、そんなに強烈に印象に残るとか
美人とかは思わないけど、真面目さと意思の強さ、必死さは、
めっちゃ感じました。 
 その分、実は弟の死に対するトラウマを抱えていて
精神科に通院してるとかが後退した感じがありますが、
(実は、弟さんの死のシーンは韓国版のほうが残酷)
それも前書しましたが、あまりにも本編の筋運びがうますぎるから
です。

 とにかく、見てほしい。 
 韓中日で少しづつアイデアを付け加えていってあの領域まで行った
と思いたいなぁ、、。 
 本当にすごい映画です。

評価
☆☆☆☆☆。満点。

3
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「無宿 やどなし」
監督・斎藤耕一
主演・勝新太郎/高倉健/梶芽衣子

 勝新さんと、健さんが共演した唯一無二の映画。
 だけど、なぜ唯一無二になったかは映画の出来でなんとなくわかってしまう。

 アラン・ドロンが出てた「冒険者たち」をモチーフに
制作されたらしいですが、あの映画相当映画界に衝撃を
起こしたんですかね、、。
 私自身は正直もう一つピンと来なかったのですが。

 勝プロダクション製作なんですが配給は東宝。
しかし、全体の印象は東宝というよりめちゃめちゃ東映ぽいです。
 東宝と東映の違いは、松竹も入れて極々簡単に説明すると
はっきり言うと、シネコンの数とかでお気づきと思いますが
もろに東宝の一強、東映、松竹の二弱です。三国志の魏呉蜀に近いかも。
 東宝はアメリカに映画製作を学びに行っていて
プロデューサーシステムを導入してP主導で個々の監督色が弱く。
例外は黒沢さんだけ。プロデューサーも大きく分けて田中さんと藤本さんの
二派に別れます。
 そして只々永遠に娯楽作品を制作します。まぁ簡単に言うと政治的に言うと
資本サイドなんですね。戦争映画なんか見るとよくわかりますが、
一部の映画を除いて、ほぼ目線が士官、将校とか上から目線です。 
 東映は時代劇と任侠物が主で、ヤクザ映画を作っているというよりヤクザが
映画を作っているとかいわれてまして、スタッフが異様に怖いことでも有名。
 ところが、主人公になるのは、底辺のヤクザだったり目線がめちゃめちゃ低い。
 上の無茶を言う権力者から虐げられているものをヒーローにすることが多い。
 松竹は、東宝がアメリカに行ったことに対し欧州に行きまして、
所謂監督主導の映画、芸術路線とはいい難いですが、
寅さん、小津さんに代表されるように主に家庭映画を作っていきます。

 めちゃめちゃ話がそれましたが、
 これ、先に配役、勝さんと健さんが出るとなってから脚本を
作った感じで、もう一つ、お話そのものにドライブ感がない。
 ただ最初とラストは盛り上がりますが、、。

 時代を昭和のはじめにしたのは面白いし、当時まだ遊郭が
合法でバンバンありましたから、そこからの足抜けとかは
面白いと思ったけど、、。
 はっきり言って、勝さんと健さんの絡みがキーの
はずなのに、個々の良さしか出てなくて、
足して2にしかなっていない。
 バラバラ。

 だけど、二大スター共演とかって映画は往々にしてこうなりますよね。
 お互いスタンドプレーになるか、この作品の場合
意外なことに、勝さんが自身のプロダクション製作ということも
あってか健さんの顔を立てて引いている感じ。
 健さんの直球勝負にコメディリリーフにちょっと退いた程度
でしょうか、、、。
 逆に、以上に印象に残るのは、梶芽衣子ですね。
 足抜けする女郎の恐怖、無邪気さとか感情豊かに表現されている感じです。

 面白くないわけでもないけど、
正直、企画ありきのわりには、企画の良さが活きてないかんじですね。

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評価
☆☆☆。

5
ko 

「告白」
監督・中島哲也
主演・松たか子

 これ、好き。

 というか、原作の湊かなえの大というほどでもありませんが
(なるべくコンプリしたいと思っている)
私、わりとコアなファンでして、ほぼ作品読んでいます。
 で、この「告白」も原作の方を先読んでいて、
 映画化されたのを知っていましたが、意図的に見るの避けていました。
 出来が悪かったり、けっこう改変されていたら、嫌なので。
 今回、機会があり、やっぱり気になり、見てみたら、、、、。
  
 すごい、、、。

 原作のイメージをほぼ変えず、また、雰囲気も変えず、
 映像的強烈さを打ち付けながら、映画化されています。
中島哲也スゲー、と。 
 中島哲也さんてCMあがりなんですよね。NHKの映像のワークショップ
みたいな番組でキュリエイターをずーっとされてて
自身はどんな映像を作る人なのか、CMは二、三本知っていましたが、
全然わからなかったのですが、
 演出といい、原作に加味し付け加えられた映像的センスも最高です。
 
 原作も、色んな人の告白で話が進んでいく
ちょっと変わった構成でして、その順番とか思い切って、
いじってくるかなとか、思っていたのですが、
 構成も、そのまんま、いいですね、、、、。
というか、後から、気づいたのですが、構成を変えたら、
ストーリーテリングがメタメタになってしまうじゃないですか、、と。

 ちょっと木村佳乃が中学生の母親としては若すぎる
感じもしますが、ちょっとエキセントリックなかんじでいい。
 後、子役時代(子役と言っても中学生)の橋本愛が出てるのにも、びっくり。
 子役から今まで女優として生き残ってきたというほうが正しいのかな、、。
 カメラマンの好みか、監督の指示なのかわかりませんが、
意図的な、逆光を多用した画作りもいいですね、、。ミステリっぽくて、、。

 難をいうなら、最後の体育館でみんながキャーっと広がるシーンの
モブの多さがもっと居たほうが好きだな、、、。
 
 なぁーんちゃって。

☆☆☆☆☆

 

3
kimi 

「君は憤怒(ふんど)河を渡れ」
監督・佐藤純彌
主演・高倉健

 健さんの命日が近かったので、ずーっとNHKゃ各放送局で
健さんの 映画を放送していたみたいです。
 これ、原作、西村寿行でして、うちの親父が
めちゃめちゃ読んでました。 西村寿行を、、。
 それもあって、見てみました。
 私の世代からすると佐藤純彌って超大作を任される、
巨匠って感じですが、
(名前を意識して始めて見たのが、「敦煌」だったかな)
 フィルモグラフィーを見てみると、この前作が、「新幹線大爆破」で
このあと、「野性の証明」と映画の規模がどんどん大きくなって
いった感じですね、、。
 ちなみに、高倉健、中野良子のコンビは、今作から
「野性の証明」へとつながっていきます。 
 
 これ、100パー「逃亡者」です。冤罪の罠にはめられた
検事が逃げながら、自身の潔白をも証明する作品。
もうドラマ版の「逃亡者」は日本でもやっていたと思うから
西村さん、ちょっとは意識しているのかな、、??。
 流石に、展開上、苦しい場面は多々あるけど、一応面白くて
最後まで、緊張感が持続して見ていられます。
 ただ、新宿で包囲されたのを馬で突破するのは、画的には面白いけど、
(実際に一頭馬が転ぶんですよ、、)
 これは無理だろう、、と。まず、いくら重要容疑者包囲しても
機動隊はでませんから、、。たぶん。
 また、この映画、中国でも上映されて、大ヒットしたそうなんですね?
ヒットの理由はいかほどに、、。
 まぁ確かに面白いけど、、。
 日中国交正常化記念とかだったのですかね??。
 そのおかげで、健さんは中国で作品を撮り、
 中野良子は、学校を建設するプロジェクトに参画したりしてます。
 なんか、相当な国家規模のヒットだったらしい。、
半日の江沢民の反日教育とかこの後なんですかね??。
 
 中野良子は、こういう気の強そうな女性やらしたら
上手いですね。 
 目の細さもありますが、凛とした芯が通った何かを感じます。
 健さんはですね、、。あんただから信用して話すけど、、
と大家さんが言う科白があるんですけれど、
 いつも思うんですが、健さんの実直な感じが
もうそれこそ、画面から溢れんばかりに出ているんですね、、。
 それこそ、どんな役をやっても、、。
 逆にヴィラン役が全然似合わない。人が持つ底意地の悪さとか
微塵も感じられない。
 3部作か、4部作の超大作の内村吐夢監督の「宮本武蔵」で佐々木小次郎を
すごいミーンな感じで演じているんですが、
 ミスマッチ感がえぐかった。
 話はそれましたが、、、。


ネタバレ


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 ラストの新薬のところも、ちょっと子供じみてて
嫌でしたね、、。
 落とし所としては、完璧ですが、
厚生省が認可するわけがない、、、多分。

だから、ちょっと点を落として
星3つかな、、。
☆☆☆
 

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