映画と感想

簡単な映画評です。シネコンで見ようが、DVDで見ようがTVで見ようが、無慈悲に書いていきます(笑)。

タグ:三船敏郎

5
Sanjuro poster 

「椿三十郎」
監督・黒澤明
主演・三船敏郎

 「用心棒」と双子関係にあるこの作品。
というか、制作順も次作ですし、続編なんですけど、、。
 黒澤さんって頑なに続編を作るのを嫌っていたかと
いうと、「姿三四郎」が失念していました。

 「用心棒」と本作どっちかといわれると、私的には圧倒的に
「用心棒」なんだなぁ、、。
 まず、「用心棒」のほうが完全なノワールだし、
邦画で誰も考えなかった西部劇のスタイルで作ったちゃんばら映画だしで、、。
 今回見直して思ったけど、
「椿三十郎」ってアクション映画っていうより
コン・ゲームの要素が強いんですよね。
 元々剣の腕がだめな人を主人公にした原作だったらしいし。
 
 桑畑三十郎が、椿三十郎になって帰ってきました。
元々椿の花はぼとっと落ちることから、
お侍さんには首落ちる様に似ていると言われ嫌われたそうですが、、、。

 女優は団令子さんと入江たか子さん。
入江たか子 団令子

団令子
 団令子さんは東宝の看板女優で、クレイジー・キャッツとか植木さんの
作品なんかによく出ていますね。 
  顔の造作は派手な感じですが、丸顔が親近感を持ちやすいみたいな、、。

コミック・リリーフ
 入江たか子さんも、戦前の無声映画のころから活躍するお姫様女優だったとか、、。
この映画では、ふたりとも完全なコミック・リリーフの役回りですが。

 コンゲームと書きましたが、どこかのんびりした感じで、楽しい感じなんですね。
で、またこんなに企みが全部うまく行くはずないとも、思っちゃったりするわけで。
三船敏郎 仲代達矢
 なにやら思案中の二人。

 ワタシ的には、少し評価を下げている作品です。
 今回見直して思ったのは、仲代達矢さんが良いですね。
仲代達矢 アップ
 このドスの利いた存在感のある顔付きを見よ。

 「用心棒」の卯之助はなんか存在感も台詞回しも弱いなぁ、、と
思っていたんですけど、丑寅がいい味を出しています。
 今回は悪の部分を1人で担っている感じです。
 「用心棒」で白っぽかったので、今回はドーランを塗りまくって
真っ黒にしたら出来上がったらしいですけど。

 もう話し尽くされた話題かもしれませんが、チャンバラの折に
人が切れるブシュという音を足したのが黒澤さんということになっていますが、
「用心棒」を見ていたら、なんとあら不思議。全然音がしない。
「用心棒」では、一回切られたぐらいで人は死なないだろうということで、
1人2回切ったことでも有名なんですが、本格的に音を入れだしたのは、
私が見る感じ、当作品からです。
 そしてそのすごい殺陣。40人斬りの殺陣のシーン。
ちゃんばら

ちゃんばら

 これも、リアルに言うと、全員がきっちり死んでいるとは思えず。
誰か、駆けつけた仲代さんに虫の息で報告しそう、、。

 そして、日本映画史に残る切り合いというか、居合いというか、
のシーン。
ラストちゃんばら

ポンプ

 もうなにも申しません。

 「用心棒」ではね、卯之助が切られてから、優しんだなぁ、とか、
そいつをもたせてくれ、、とか、
 卯の助が色々しゃべるんですね。あれは、ちょっと要らないなぁと
思いながら見ていたんですけど、
 今回は、あっさり。これは、いい感じです。

あばよ

 そしてあばよ、と。
 肩を大きく揺する癖が出るのはここだけかな、、。
 もっと前半でいっぱいしてほしかったなぁ、、、。
 
 「用心棒」がヒットしたので、その主人公を「日々是平安」ですか、
そこに当てはめた感はどうしても、やっぱりしますね、、。
 なんか血生臭くないというか、ほんわかしているというか、、。
 しかし、邦画史に残る痛快娯楽時代劇であることは間違いなしです。

 関係記事。
「用心棒」 

隠し砦の三悪人 

わが青春に悔いなし 

赤ひげ  

七人の侍 

雨あがる 

花のお江戸の無責任 

ニッポン無責任時代 

日本のいちばん長い日 1967 

評価
☆☆☆☆☆。

3
mid 

「ミッドウェイ」
監督・ジャック・スマイト
主演・チャールトン・ヘストン/ヘンリー・フォンダ

 この戦いに敗れて日本は太平洋戦争を敗北しました。
まぁ勝っていても終わりが長引いただけかもしれませんが、、、。
          ↑
    これを書いたら日本人として終わり。
 それぐらい強烈な敗北だった。
 山本五十六は1年半は暴れてみせるといいましたが、実際は
開戦からたったの6ヶ月の栄光でした。

 それをアメリカ正確にはハリウッドでしょうが、、、。どう見ているのか
大変興味が合ったのですが、、。
 だいぶ日本人の戦史の解釈とは概ね合致しますがかなり違いますね。

 というより、新造で撮影した戦闘シーンがゼロに近いらしく、
既存のハリウッドや日本のフィルムも使われているとか、
既存の撮影し終わった戦争シーンと現存する戦争記録フィルムなんかを
継ぎ貼りして作った戦闘シーンがあまりにもミリオタとしては
酷すぎて怒りすら感じます。
 戦争映画って放っておくとおっさんばっかりしかも
血と油と煤で汚れた、、の映画になってしまい女性の
出演がゼロになるのですが、収容されている日系人の女性との
シーンを入れてかろうじて女性を出しています。
 まぁEpisode的には苦しい感じですね。

 しかし、RミッチャムにHフォンダ、Cヘストンに三船さんと戦闘シーンに
あまりお金をかけていない分、役者さんはめちゃめちゃ豪華です。
 一部訳語というか、原語でもcaptainっと呼んでいたのですが、
艦長と訳すべきなのか、階級の大尉なのかよくわからないところが
ありましたね、、。(Wikiでも記述があった。あれは映画が間違っていると思う)
 海軍は難しい。カタリナとかはきっちり現存する実機が飛んでいるのに、
その他の単発機は艦攻から艦爆、戦闘機とほぼ、A-6テキサンと呼ばれる
初等練習機の改造機ばかりで、しかも改造の完成ぐわいもめちゃめちゃで
見ていて、ミリオタとして変な知識が余計にあるばかりに混乱します。
 最後は塗装だけみて判断するしか無いのかと理解した辺りで
山口多聞さんの飛龍での刺し違えぐらいで終わってしまいました。
 複座の艦爆でも、三座の艦攻に切り替わっていたりと
怒りを通り越して混乱を生じさせています。
 逆に、役者の搭乗シーンがあるコックピットだけでワイルドキャットか
ヘルキャットかわからない自分を攻めていたぐらいです。
(当時はワイルドキャット)

 三船さんは残念ながら吹き替えですね。けっこうハリウッドって英語の
発音にうるさいんですよね。
 有名な話しだと、同じ英語どうしですが、
米語しか話せないアンディ・マクダウェルが
ターザンのリメイクで英語しかも上流階級の
英語が話せずにかっちり全部吹き替えられたと言われていますから。

 暗号を解読されていたのは概ね一緒ですが
そこからは、ほぼほぼ日本の通説とはぜんぜん違うというか
艦攻の雷装だったのを爆装にしてもう一回雷装に戻す
勝利を分けたと海軍がしきりに主張する7分間の描写が皆無。
 とにかく、両軍ドタバタしてなんかわからないけどアメリカが勝った
みたいな描き方です。
 まぁこれはアメリカも窮地だったと映画的に煽りたい描写なのかもしれません。 
 最近の日本側の研究でも、実はこの7分間は海軍が作った
創作だって説も流布しているのでわかりませんが、、、。
 山本五十六さんは良いとしてやっぱり源田さんとかも、
アメリカ的には有名なんですね。ルメイに勲章を与えたぐらいですから。

 私は源田さんも含めて、ルメイへの勲章は置いといても
このミッドウェイに参加した海軍の前線高級指揮官は
全員日本が裁くべき戦犯だと思っています。
 6隻ある正規空母のうち、2隻が傷んでいて
残りの4隻全部沈んだら、普通ゲームオーバーでしょ。
 それこそ、あと3年間だけどどうやって作戦立てるのよ、、。

 戦争映画としては完全におすすめできませんね。
 アメリカのミッドウェイの戦いの認識が分かる程度。
 あとスターがたくさん出ているぐらい。

関係記事。
さらば愛しき女よ

ダンディー少佐

華麗なる激情

黒い霧 

隠し砦の三悪人

赤ひげ  

七人の侍 

日本でいちばん長い日 1967

用心棒 

評価ギリギリ3かな。ほんとは2。
☆☆☆ 。

5
hidden 

「隠し砦の三悪人」
監督・黒澤明
主演・三船敏郎

 超痛快戦国娯楽劇といったところでしょうか?。

 数多くの黒澤作品の中では、めちゃめちゃおもしろいんですよ、
それを再三断っておきますが、そんなに好きじゃない、、。
 なんかRPG的っていうか、実際そうやっていつもの脚本チームで
こういう難所に差し掛かったらどう切り抜けるとか、こうなったら
どうだとか、そんな感じでアイデア出し合って脚本を書いたそうですが、
 なんかゲームというか、ドラマって感じがしないんですね。

 それと、言われてみると晩年の影武者とか乱までないんだけど、
スペクタクル感がもう一つな気がするんだな。

 ただだけど、改めて見ると、めっちゃ面白いですね。

to SW
 このシーンから、G・ルーカスはSWのEpi4のタトゥーウィンでの
R2と3POの砂漠でのシーンを着想をって、ほとんどコピーですけど。
 千秋さん藤原さんどっちがR2でどっちが3POかは微妙だけど。

 結局別れた二人。


new R
 戦泥棒の追い剥ぎまでして鎧を手に入れた藤原さん。
コレをみるかぎり、新型のR2ユニットです。
この素っ裸に不似合いな鎧姿でひょこひょこ歩く姿を
笑わずにはいられないでしょう。

mob
 
 上記、書いたことと矛盾しますが、迫力満点のお城の大階段でのモブシーン。
 ここも脚本上まぁ、必要ですけど、
 この群衆シーンを大きな階段で戦艦ポチョムキンでしたっけ、
あんな感じで一回撮りたかった気がするんだな、、、。
 これが、序盤で三船さんが一切絡まずにこんなシークエンスを
入れるからやっぱり黒澤組の予算とか規模はすごい。

 すったもんだあって、金塊を持って姫様ごといかに
脱出するかのお話しに。

ride
 これも、すごいシーンですよね、、スタントなしなのではないでしょうか?
深く考えれば、刀なのでもう片手で手綱を握れば良いはずですが、
 この手綱なしで足だけで馬を御し、しかも危ない危ないほぼ全速力。
 見せ場です。

ride2
 そして、両者手練の全速力で疾駆する馬上でのちゃんばら。
追われる側は短槍なのでこちらも手綱は放してのちゃんばらとなります。
 今のカーチェイスに比べると、流石にカメラの移動が少なく
パンでの処理が多いですが、演ってる演者さんも含めてすごいです。
 
 ちょっと話が反れますが、昔の映画で車のシーンなんか車窓だけ
別個に写して合成とはちょっと違う不自然な乗車シーンをめっちゃ見ると
思いますが、あれも、車にすらカメラを当時載せられなかったのです。
 今なんかでも、ギリギリ乗車中の会話のシーンなんか車の窓
の端っこに乗せて撮ってますけど。
 カーアクションなんかだと、被写体もカメラも動きながらだと大八車
みたいなサイドバイクを使ったりしてますね。

spififhg

 そして、そのまま、勢い余ってというか、回り敵だらけなんだけど、
藤田進さんとの槍での殺陣。
 これも、あったようで少ないですよね。
藤田進さんも、まぁ東宝の看板俳優ということもあったでしょうが、
姿三四郎からわが青春に悔いなし と初期の黒澤組の看板主演俳優でした。
 藤田進さんと言えば、どこか優しそうな感じがするので、
日本でいちばん長い日 1967でも、利用される将校の役だし、
日本海大海戦でも、ちょっと失敗してしまった上村中将の役だったし
 ちょっと、弱いというか、失敗してしまう役が多い気がします。

fd
 そして、火まつり。この作品、音楽は佐藤勝という方です。
(知らない)
 これも、スペクタクルシーンですよね。モブで。

betray
 豪壮な藤田進さん。
 なんと、「裏切り御免」とは、、。
 あはは、痛快、痛快。

HE

 そして、デーンと見違えるほどかっこよく美しくなった
三人。
 多分ね、ここも、SWのEpi4のラストの叙勲式の
元ネタだと思うんだな、、。
 今回見て思いました。

 まぁ、徹底して娯楽側に振った作品ですよね。

 こんな名作に文句言ったらいけません。

関係記事
わが青春に悔いなし 

赤ひげ  

七人の侍 

日本でいちばん長い日 1967

用心棒 

評価
☆☆☆☆☆。
 

5
yo 

「用心棒」
監督・黒澤明
主演・三船敏郎

 来ましたよ、、、年末NHKBSの映画マラソン。黒澤さんの
白黒時代の作品を特集してくれました。きゃー。
 ゴテゴテした、晩年の「乱」や、「影武者」も
けっこう本当は、これぐらいの規模で、合戦シーンを撮りたかったのだなって
感じで好きなんですけど、七人の侍の次って言われたらやっぱりこれだな、、。
 続編として、「椿三十郎」があるんだけど、こっちだな。
 というのはね、たぶんね、隠し砦の三悪人とかもそうなんだけど
 黒澤作品の脚本チームって徹底してアイデアを出し合って、
描き上げる分、コンゲームの要素がアイデアが出れば出るほど
その要素が強くなって、ちょっと娯楽性と相反する気がします。
 それと、ドラマ性と、まぁ、これくらい、いっぱい撮った人だから
特徴はそれぞれあると思うんだけど、、。
 エンタメ度とか、単純に「用心棒」のほうが、高いと思う。
「椿三十郎」ってはっきり言って、騙し合いのコンゲームで
あんなにうまく三船さんサイド&加山さん側にいくのかなって、
正直思っちゃう。
 まぁ、いい映画であることはまちがいないんですが、。
 リメイクも、森田監督なくなっちゃったのであんまり書きたくないけど、
多分イーストウッドの西部劇があるから遠慮したと思うけど、
こっちをやるべきでしょって、ずっと思ってた。

WS1 
 ジェリー藤尾さんに、後ろに本当にちらっとだけだけど、加藤武さんが出てる。

 加藤武さんって、時系列的には、前作の「悪い奴ほどよく眠る」では
よく出てたんだけど、それ以前は、死体役とか、殺される役で
笑っちゃう。蜘蛛巣城でも、殿様の番兵で槍で殺されてるし、
「隠し砦、、」では、実は、撮影中大事件が置きてて、冒頭のシーンで
よく言われる、C-3POとR2-D2にそっくりそのままパクられたシーンだけど
あそこで、騎馬兵に槍で突き殺される役。
 しかも、撮影中、騎馬兵に刺されるまではよかったらしいんだけど
馬が返してきたときに、普通馬って下の障害物、(死体役でも)
避ける習性があるそうなんですが、パカーンって思いっきり、
死体役の加藤武さんの頭部を蹄で蹴ったらしいんですね。
 それでも、死体なので動けない、加藤武さん、さすが文学座!。
 頭を馬に割られて大出血、そのまんま、撮影用の血糊とともに
病院に運ばれたそうですが、死体役でしょ、
 実際の血と血糊みて、医師が卒倒して倒れそうになったとか、、。
黒澤組での笑い話だそうです。

WS2
本作、よく、七人の侍 のときの、敵味方が入れ交わってて面白い。
野武士のかしら格だった、東野英治郎が、味方に加東大介が敵に。
仲代さん、若すぎ、今みたいな、オーバーな演技スタイルがまだ
確立されていません。
 
 単純に、悪いヤツしか出てこなくて、ノワール物としても
よく出来ていますよね。
 あと、映画製作方式というか、撮影の方式から言っても、
まるまる大きな通りを一本作って、野外シーンはそこでほぼ全部取りきっちゃう
西部劇スタイルで、どれくらい、西部劇を意識して製作していたのか、
わからないけど、これ、西部劇に似ている似てるって
言われるのって、撮影方法にもあると思うんですよ。
 どれくらい、意識したんでしょうね、、。存命なら聞きたい。
だけど、黒澤さん、Jフォードは大雑把な監督なようで
めちゃめちゃ認めてて好きなんですよね。
W6
 あと、この東野英治郎さんを吊り下げてるところなんかも、
時代劇というより、まるまる西部劇。しかも、なんと、掛けてるところが
神社の鳥居という、なんちゅー。
 ここのシーン、真冬の撮影で、風をそれこそ、大扇風機で
ビュービュー当てて、めちゃめちゃ寒かったらしい。
(当たり前だ)
 この画面にとにかく、風でも水でも、なんでも動かして、勢いをつけるのは、
黒澤さんの若い時、それこそ「姿三四郎」のころからの定番。
 白いペンキの中格闘をしたり、わが青春に悔いなしでも、
あの原節子さんを泥田に放り込んで撮影してる。
 そして七人の侍はご存知、土砂降り。付け加えるならあれも、
2月の真冬でエキストラがマジで寒そうにしてる。そこを三船さんは
胴丸一つにふんどし一丁。
 ちなみに、画面に動きつけたり、自然物で動きを強調するのは、
PVなんかでも演出法でよく利用されてますよね。
 それを戦前から、この人はやってます。

 時系列的には、下の画像のまえになりますが、
三船さんの入った棺桶を加東大介さんに運ばすところあるでしょ、
あそこは、ちょっとやり過ぎ。あんまり好きじゃない。

WS000003
カッケー。 
 加東大介さんのコミカルさのいかり肩もいいと思う。

WS000004
こっちも、カッケー、もうキレキレのセンスです。

 練習してるシーンがこの前にあるんだけど、
拳銃の仲代さんに対し、三船さんがなんか投げるとは、
一等最初から思ってましたけど、、。

WS000005
コミカルすぎる、加東大介さん。

 仲代さん曰く。
「あんまり、こっちに来るんじゃねえ!!」
 そりゃそうだろう、、。

WS000007
この、殺陣を見よ!。
 しかも、拳銃の的を外すため、すごいフェイントをかける三船さん、
カメラのコマに収まってなかったとか、言われるぐらいの動き、
(それは、椿三十郎での何十人も切った殺陣かな)
ダーティー・ハリーじゃないけど、何発仲代さんが
撃ったか数えました??。
 しかし、この殺陣は本当にすごい。本当に一人一人、リアルに斬って回ってる。
 
 そしてこの殺陣のあと、血糊付けて倒れている人のまま
のシーンの撮影がまた寒くて、そこを三船さんが慮ってたって
よく言われてます。
WS000000
 これも、めちゃめちゃ、リアル。
よく時代劇だと、全員申し合わせたように切り合いますが、
普通、逃げるやつって出てくると、思うんですよね。 
 一人、一人、忠誠心とか、戦意とか違うわけだし。
 しかも、これ、若き日の夏木陽介さん!。

 「水粥、啜っても生きていたかないか!」

 断然、コンゲームの「椿三十郎」より、「用心棒」のほうが、好き!。

関係記事。
わが青春に悔いなし

赤ひげ

「七人の侍」

評価
☆☆☆☆☆。
☆5つは当たり前田のクラッカー。


 
 

5
redb 

「赤ひげ」
監督・黒澤明
主演・三船敏郎

 今まで、なんとなく、あんまり切った張ったの要素が少なそうで
黒澤作品でも避けていたのですが、
 今回見てみたら、めちゃめちゃフィット。
 しみじみいい映画ですね、、。
 ただ映画の脚本としての構成は、脚本家養成道場としては、減点物ですね、
3つの短編をくっつけただけ。
 だからどうだという気はありませんが、。

 素晴らしい人情噺の連続といった感じ。
 全Epiすばらしいのですが、中でも、最後に見ることになる、
少女期の二木てるみさんをフィーチャーした、最後のEpiが秀逸。
おとよと、呼ばれる、存在感といい二木てるみさんの演技が素晴らしすぎますね、、。
この後、女優業はもちろん、
朗読とか、アニメの声優の仕事(たしか、オスカル?)などもやられていたみたいですが、、。
 また、この二木てるみさんを取り返しに来た、杉村春子さんの演技にも脱帽。
超早口の台詞回しが素晴らしいの一言。「用心棒」の山田五十鈴さんのすごかったけど、
この杉村春子さんの台詞回しは本当にすごい。
 
 黒映画にとっては、三船さんとのお別れの作品。
香川京子さんの永遠の美しさから「天国と地獄」と私、順番間違っていましたが、
今回、鑑賞してきっちり訂正。
 一応、歳はとれども三船さんの岡場所での
素手での殺陣もあるんですよね。
 散々相手をやっつけた後で、「これはひどい」とか「これはよくない」とか、
言って顎を治してやったりするのも、どっか笑っちゃう。
 この作品は、実は、黒澤さん、三船さんとの決別だけでなく、
モノクロとの決別でもありました。

 カラーもしくは、総天然色(昔はこういったんですね)
になり、画作りが絵画的になり超オーバー・ディレクティングの
黒澤さんんの良さがよりよく出るかと思いきや、
「どですかでん」では、もう何週もしたのか完全に停滞したかな、、、、。
 この辺から、東映での「トラトラトラ」の企画倒れや
黒澤さんと世間との真の評価と苦闘が始まります。
 確か、最後のEpiの長坊が、どですかでんのどですかでんなんじゃなかったでしたっけ?
まちがっていたらすいません。

 絵作りはともかく脚本としては、実は医療モノも戦争映画と同じく
ズルい題材の一つです。
 あるベテランの先生が新人の医師や看護師にいうそうですが、
君たちは一番いい場所にやってきたと、ここ(病院)は人の苦しみの
すべてがあるところだとそれを見られる職場などそうはない、、と。
 まるで、映画の台詞じゃありませんか、、。
 そこまで、病院というものをフィーチャーした映画ではありませんが、
 誰もが感動し、心揺り動かされる事間違い無しの人情話の
連続に降参するばかりでした。

 老けた、椿三十郎なんかみたいくないや、とか言わず、
見てほしい一作です。

関連記事 
「七人の侍」

☆☆☆☆☆。
 
  

5
7

「七人の侍」
監督・黒澤明
主演・三船敏郎

 日本映画の一つの、到達点ですね、、、。
 いや、世界映画史でも多分埋もれることなく記載されるでしょう。
 黒澤さんがすごいのは、これだけにとどまらず、
若い頃から、ドラマと絵作り、音楽にもけっこうこだわってますが、
いわゆる映画、ドラマツルギーで見せる映像表現というものを
娯楽作品としても、質の高いものを提供をしようとしたことが
伺えます。
 これ、私なんかが、テレテレ書くより、高名な方の読むか
前知識無しで、どかーんと見て、衝撃を受けてください。
黒澤作品ってけっこう配役固まっているので、
こういう使い方してるのかとか、見るほど思いますが、
 これだけは、そんなの関係ないですね。
 雲待ちしたり、家一軒こわしたりとか、撮影にはいろんなEpiがありますが
 それだけ、一切妥協しなくてアイアン・ジムと呼ばれた、
ジム・キャメロンと同じく、映画に対して真摯に取り組み妥協しなかったということです。
又、これを支えたのが、なんとハリウッドスタイルで
徹底的にスタジオ、プロデューサーサイドでコントロールする
東宝だったてのもある意味皮肉です。
あの東宝でさえ、黒澤さんには好き放題させたというほうが正確なのかもしれません。
 改めて、みて思うのは、結局のところ、
 リアルさとドラマですね、、。

  個人的なこと書かせてもらうと、これで何回目見たことになるのだろう、、。
一番最初は、高校生でまだシネコンのない時代に
生誕のアニバーサリーかなんかで、中規模のロードショー型の映画館で
ディレクターズカットの一番長いやつを見たんですね。
トーキーとか悪くて、何言っているのかわからないところも
あったけど、とにかくすごかったのだけは、覚えてますね、、。
映画から受ける衝撃という意味では、高校生ぐらいでみたのがよかったのかも、、。
 当時は、やっぱり木村功さんじゃないけど、久蔵の宮口精二さんに憧れたなぁ、、。 

 うちの親父は、ジョン・スタ―ジェスの大ファンで荒野の七人を
わんわん私に言ってましたが、比較にならないですよ。
 そこから、翻って、「マグニフィセントセブン」も見てないけど、、。

 書き出すと止まらないので、何も書きません。

☆☆☆☆☆

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