映画と感想

簡単な映画評です。シネコンで見ようが、DVDで見ようがTVで見ようが、無慈悲に書いていきます(笑)。

タグ:大川橋蔵

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「炎の城」
監督・加藤泰
主演・大川橋蔵

 NHKお得意の固め放送です。大川橋蔵シリーズ。
シェイクスピアの「ハムレット」を戦国時代に置き換えて、
瀬戸内海のとある大名という設定で映画化したものです。
 シェイクスピアの戦国Verというと、すぐ黒澤さんが思い浮かびますが、
黒澤さんだけの専売特許ではないみたい。

 オリジナルのハムレットより、大幅にエンタメ化されてて
はるかに面白くなってるんだけど、いかんせん、
オリジナルの「ハムレット」が持っている、おもしろなさを
残念ながらそっくりそのまんま受け継いでしまった感じ。
 というのは、私だけかもしれませんが、
あのハムレットがTo be or not  to beとことをおこすかどうか
悩み、だーっと状況を説明しながら、狂ったふりをしたりするところが
ハムレットの演者の最大の演じどころといいますか、あるんですけど、
あそこが、やっている役者さんは最大の見せ場、楽しいらしいんですが、
見ている側はちっと辛い。
 というか、親父をおじさんに謀反で殺された疑念があったとして
あんなにべらべら喋って、悩みますかね、、。
 まぁ、信長みたいに、おじさんにころされそうなので、無能な
振りぐらいは、流石にすると思うのですが、あんなあからさまに
狂ったふりをするのは、ちょっと嘘くさい。
 ただ、舞台だと、ナレ処理とかできないので、ああやって、
ハムレット一人でどわーっと喋るしかないとおもうのですが、
映画だと、あのへん、スッキリできなかったかと、、。

 それと、大幅にエンタメ化されていまして、ラスト、
大河内傳次郎の叔父さんとの天守閣での一騎打ちまで
ありますし、それと同時に、父親派といいますか、
旧勢力による領民を全員従えた一揆が起こり、
壮大な城攻めが展開されます。
 が、面白くなってきましたぁ、、、、と思ってたのですけど、
ここで、邦画独特の予算の制約といいますか、安っぽさが
出てしまい、一揆勢による大掛かりな城攻め、大戦闘モブシーンは
大手門をめぐる戦いのみに修練されています。
 まさに、残念、、。
 大幅にエンタメ化したところ、チープさが出てしまった模様です。
 藤原竜也のハムレット
(演出は大演出家、蜷川幸雄!!)
を結構我慢しながら、きっちり全部見た記憶が
あるのですが、いつもラストを思い出せない、、。
こんな革命みたいな一揆になるんでしたかね??。
 大川橋蔵と大河内傳次郎の天守閣での一騎打ちはいいですね、
めちゃめちゃわかりやすい。
 それに、大きなモブによる戦いとチャンバラの一騎打ちが同時に
おこるなど、SW方式です。

 オフィーリア役の雪野役の三田佳子さんがとても美しい。
異性マジックが働いているかもしれませんが、
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この画像、一応、映画のタイトルも入れて検索したけど、
実際の画像かどうかは怪しい。他の作品の可能性があります。
 三田佳子さんは、私が、物心ついた頃から、もう
大御所の女優さんだったので、あんな若くて可憐な役
をやっておられるのが、まずびっくりだったので、、。
叔父さんの謀反に加担したその父親を大川橋蔵に
殺され、想っていた大川橋蔵もおかしくなってしまい、
入水してしまいます。
 ここも、ちょっと超乱世の戦国時代のタフな女からすれば、
考えがたいですが、ドラマ的には、いいですよね。
入水するシーンは、美しささえ感じます。
 
 夫を殺され、そのままその相手の女になってしまう、
母親は、高峰三枝子さんがやってて、金田一シリーズに続き、
続きと、いうか、こっちが前ですが、
もう母親役をやっているのかと、、、。納得したり、
残念だったり。
 
 エンタメ化したところ、安っぽさが出るとは、
思いもよらない映画でした。
 だけど、ハムレットのサワリというか、雰囲気を
つかむには、いいと思います。及第点ぐらい。

関係記事
この首一万石

犬神家の一族 1976

評価
まぁ、普通かな。
☆☆☆。 
 

5
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「この首一万石」
監督・伊藤大輔
主演・大川橋蔵

 私、世代的に大川橋蔵さんってもう一つピンときてなくて、
銭形平次の人らしいですね、、。ギリギリすれちがいぐらいで
見てないかもです。 
 というのも、うちの家は完全に東洋的価値観を捨ててたといいますか、
家族でとにかく洋画ばっかり見てましたから、TVの時代劇となると
とかく、疎い、、。

 一言、これ、名作です。ほんとうにすごい。

 これ、東映製作なんんですけど、
東映っていうと、最近はそうでもないですけど、
「ヤクザ映画というより、ヤクザが映画を作ってる」
とか、映画関係者、映画ファンには言われてまして
 でも相当そうらしい。黒澤さんで撮ることになっていた
「トラトラトラ」の企画でも、単身乗り込んでいった黒澤さんに
対して相当冷戦というか、すごかったらしい。
 (違う形で映画化されましたが)
 まあ黒澤さんサイドにも多分に理由があったそうですけど。

 といっても、70年代かギリギリ80年代までで
高倉健さんとか、任侠もののイメージだと思いますが
いつもなんですけど、視線が本当に低い。
 絶対鳥瞰や俯瞰した目線でファクトを描かない。
 まさに強きを挫き弱気を助ける、任侠の矜持。
 例え戦争映画を撮っても、兵士目線を絶対入れるでしょ。
 この辺は、逆に共感がめっちゃ持てる。
 だから、ヤクザっぽいとか言われるのかな、、。
 ただ、東映の時代劇だと新人の女優さんとか男優さんとか、
古株の結髪さんとか、衣装係の人にめっちゃイジメられるそうですけど。

 今作も、日雇い人足のお話です。まさに江戸時代底辺を生きる
人々のお話です。
 ごくごくかんたんに書くと、結婚のため武士の身分に憧れた人足が
武士のほんの小さなメンツのために詰め腹を切らされる。
 悲劇中の悲劇。

 これ、本当に脚本が良く出来ていてですね、、。
 構成といいますか、伏線、ネタフリ、タイミング最高です。
 私が最高と書いたのはですね、なんといっても、
 大川橋蔵さんのところに、肝心の揉める元となった槍が
届くタイミングが最高。
 そして、髻(もとどり)を切られた乱れ髪で練達の武士相手に
命がけの殺陣を展開するラスト!。
 この一連の殺陣、無声映画の頃の名作に「雄呂血」ってのが、バンツマさんの
映画であるんですが、乱れ髪もあって、それを思わせます。
 ちょっと武士サイドが弱すぎるかなって気もしますが、、。
 戦国の古来から、剣術って廻いが全てで槍に刀が勝てた
試しがないっていいますからね。
(残酷ですが、首を取るときだけ刀を使用したとかって説もあります)
 槍をもっていくときだけ、調子良かった、上方の大名の人足頭(にんそくかしら)も
そのあとは、へなーっとなっちゃうのは、ちょっとがっくりでしたが。
 どうせ、人足が居なければ、運べないんだから、ストみたいに
おっぽり出せば、と思うけど、違う人足衆をやとっておわりなんでしょうね。

 ただ、人権意識の薄弱だった近世ってこんな感じですよね。
 世の東西を問わず。
 西洋でも、長く、メンツや名誉をかけた決闘をずーっと
やってましたし、参勤交代の大名行列でも街道を譲る譲らないの
いつも大騒動になっていたっていいますから、、。
 
 これは、名作です。

 鑑賞されることを、絶対オススメします。

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「七人の侍」

評価
☆☆☆☆☆
 
 

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