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「十三人の刺客 1963」 
監督・工藤栄一
主演・片岡千恵蔵

 面白い。よく知らないけどたぶん日本映画史上に残る傑作だと思う。
 
 超ハード時代劇。これだけど東映なんだね。
 東映というと時代劇もメインディッシュなんだけど、どっちかというと
殺陣とかケレン味を重視してて面白ければ、良い、
見栄えが良ければ良いって作風だと思っていただけに意外。
 必殺仕事人シリーズとかを思い出してください。

 だけど、これ、絶対制作するにあたって、七人の侍が念頭にぜったいあったと
思うんだな。
 特に、ラスト30分に渡って繰り広げられる一つの宿場町を要塞化じゃなかった、
砦みたいにして戦うシーンなんか、、、。
 時代劇をよりリアルにハードに面白く描いているだけに
七人の侍と比べちゃうんだけど、そうすると、人間も描けてないし
ドラマとして弱いと思う。

 それと江戸時代は疎い歴史好きからしても、
ラストの宿場町での十三人VS五十何騎を描きたいがために
 すべて脚本があるようで、ちょっといくらなんでも設定が無理筋だと思う。
 明石藩10万石に養子にいった残忍な将軍の弟でも、旗本が
たった13人だけで討ち取るように幕府が処罰できないってないんじゃないのかな、、と。
 丹波さんが駄目だ。って再三セリフで言うけど、、。
 他にやり方があるでしょう?と。
 それに、宿場全部借り上げるのも旗本とは言えお金が足りるのかと。
 また江戸時代は特に侍は敵討ちの時代で、このあと、明石藩が報復に
出ることはないのか、、、、。
 赤穂浪士の例をとっても見ても穏便に済むはずがない。
 と脚本や設定にケチは付けられますが、
 ラストの宿場での殺陣どころか、戦闘はリアルの一言で、
凄まじく圧巻の出来栄えです。
 また、ネタバレになってしまいますが、
 片岡千恵蔵のラストも意外や意外。
 書いてて気づいたんだけど、あれで、明石藩の敵討ちをパーに
しちゃったんだね。
 武士とは死ぬこととなんとかしたりみたいな、
全員が強烈な自己犠牲の上で成り立っています。
 13人全員キャラ立てするのって不可能だけど、もうちょっと
主要キャラぐらいはドラマを作ってほしかったなぁ、、。
 あと、最初弓矢で数を減らしていくんだけど、七人の侍
トリックがあるんだけど、背中に矢が実際に刺さりますから。
 背中に板を入れて糸を張って其処を走らせるらしいんですけど。
 そのあたりもちょっと弱い。

 七人の侍でいえば、宮口精二みたいな西村晃もかっこいいんだけど、
なんと言っても、かっこいいのは、ヴィランの内村良平さんですよ。
 頭も来れるし、腕も立つし。
 橋を崩したからには、徒士で渡れるところがあるはずだっていうセリフに
はしびれました。
 それが、あのラストの泥田で寝っ転がり笑う侍につながるんでしょ。
 あの完全に包囲された宿場から出られた、と。

 色々ケチを多少付けましたが、
めちゃめちゃおもしろいです。
 絶対オススメします。

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評価
☆☆☆☆☆。