映画と感想

簡単な映画評です。シネコンで見ようが、DVDで見ようがTVで見ようが、無慈悲に書いていきます(笑)。

タグ:里見浩太朗

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「大殺陣」
監督・工藤栄一
主演・里見浩太朗

 撮影順でも、工藤栄一監督の十三人の刺客 1963
次作に当たる作品。
 ほぼ、企画としては前作と同じで、
今回は五、六人で三、四十人と切り合います。 
 といっても、狙うは甲府宰相一人なんですけど。
 下っ端の侍が偉い悪いやつを襲うという東映路線すばり
ど真ん中です。
  
 タッチとか雰囲気もほぼ一緒。めちゃめちゃハードでリアル。
 言葉が古すぎて私でも必死にならないと何を説明しているか
わからないナレーションと、まぁ昔の人は基礎教養としての江戸時代の語彙が
豊かなんだなぁ、、と思う始末。
 前作に比べると、若干ラストに持っていく途中の
緊張感が弱いかなぁ、、と思うぐらいで私としてはめっちゃ好みですね。
 この工藤栄一監督を知って正直、東映の時代劇のイメージが
変わりましたね。
 仕事人の途中から最後の方のシリーズじゃないけど
傘で刀を受けたりとか、リアルとかハードよりケレン味あふれる殺陣
が売り物だと思っていたのですが
 こんな時代劇も撮っていたなんて、、、。
 こんな感じで戦国時代も撮って欲しいんだけど、静かな江戸時代の
中に残酷に切り合うから良いんだって感じなんでしょう。

 色々策を巡らせて、行列の人数を減らすのまで前作と同じで
ここは少々またか、と思うところ。
 
 ただ、吉原に続く町家しかも、町家みんながそろって畳を上げて
掃除しているところへ追いこんで、そこの人々まで巻き込んで
女性や町衆がきゃーとか逃げ惑う姿を入れた殺陣は
相変わらずすごい。
 特に、門があって、周りを掘りで巡らせていたという吉原が
完璧に再現されていまして、めちゃめちゃリアル。
 その堀やその堀の周りの泥田で切り合います。

 これ、策するのは悪役ばかりやる安部徹なんですよ、。
 ええ安部徹が良い方につくの?と思っていたら、
 ご安心あれ、この軍学者、立てるのは策だけ。
 見てるだけ。
 やっぱりおまえは、、、という感じ。安部徹ってね気づいたの
「はなれ瞽女おりん」なんだけど、これも、幼少期に見て
私、しっかりトラウマになっている作品で
ものすごい作品なのでチャンスがあれば一度見てください。
 あと、七人の侍で参謀役だった稲葉義男も逃げるんだな、、。
 でも、ちゃんばらで逃げるの黒澤さんでたくさん見たけど
リアルだと思う。
 全員が図ったかのように切り合うなんてちょっとないでしょ?。
 それと、壮絶なのは主役の剣が折れちゃう里見浩太朗より、
家族を全員殺してから切合に向かう大坂志郎ですよ。
 しかも、貧しくも仲の良い家族のシーンをたっぷり描いといて。

 時代劇だけは、昔の邦画のほうが良いかもですね。

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十三人の刺客 1963 

評価
☆☆☆☆☆。

5
13n 

「十三人の刺客 1963」 
監督・工藤栄一
主演・片岡千恵蔵

 面白い。よく知らないけどたぶん日本映画史上に残る傑作だと思う。
 
 超ハード時代劇。これだけど東映なんだね。
 東映というと時代劇もメインディッシュなんだけど、どっちかというと
殺陣とかケレン味を重視してて面白ければ、良い、
見栄えが良ければ良いって作風だと思っていただけに意外。
 必殺仕事人シリーズとかを思い出してください。

 だけど、これ、絶対制作するにあたって、七人の侍が念頭にぜったいあったと
思うんだな。
 特に、ラスト30分に渡って繰り広げられる一つの宿場町を要塞化じゃなかった、
砦みたいにして戦うシーンなんか、、、。
 時代劇をよりリアルにハードに面白く描いているだけに
七人の侍と比べちゃうんだけど、そうすると、人間も描けてないし
ドラマとして弱いと思う。

 それと江戸時代は疎い歴史好きからしても、
ラストの宿場町での十三人VS五十何騎を描きたいがために
 すべて脚本があるようで、ちょっといくらなんでも設定が無理筋だと思う。
 明石藩10万石に養子にいった残忍な将軍の弟でも、旗本が
たった13人だけで討ち取るように幕府が処罰できないってないんじゃないのかな、、と。
 丹波さんが駄目だ。って再三セリフで言うけど、、。
 他にやり方があるでしょう?と。
 それに、宿場全部借り上げるのも旗本とは言えお金が足りるのかと。
 また江戸時代は特に侍は敵討ちの時代で、このあと、明石藩が報復に
出ることはないのか、、、、。
 赤穂浪士の例をとっても見ても穏便に済むはずがない。
 と脚本や設定にケチは付けられますが、
 ラストの宿場での殺陣どころか、戦闘はリアルの一言で、
凄まじく圧巻の出来栄えです。
 また、ネタバレになってしまいますが、
 片岡千恵蔵のラストも意外や意外。
 書いてて気づいたんだけど、あれで、明石藩の敵討ちをパーに
しちゃったんだね。
 武士とは死ぬこととなんとかしたりみたいな、
全員が強烈な自己犠牲の上で成り立っています。
 13人全員キャラ立てするのって不可能だけど、もうちょっと
主要キャラぐらいはドラマを作ってほしかったなぁ、、。
 あと、最初弓矢で数を減らしていくんだけど、七人の侍
トリックがあるんだけど、背中に矢が実際に刺さりますから。
 背中に板を入れて糸を張って其処を走らせるらしいんですけど。
 そのあたりもちょっと弱い。

 七人の侍でいえば、宮口精二みたいな西村晃もかっこいいんだけど、
なんと言っても、かっこいいのは、ヴィランの内村良平さんですよ。
 頭も来れるし、腕も立つし。
 橋を崩したからには、徒士で渡れるところがあるはずだっていうセリフに
はしびれました。
 それが、あのラストの泥田で寝っ転がり笑う侍につながるんでしょ。
 あの完全に包囲された宿場から出られた、と。

 色々ケチを多少付けましたが、
めちゃめちゃおもしろいです。
 絶対オススメします。

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評価
☆☆☆☆☆。

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